ライフ

「乾癬」は生活習慣病の引き金に、薬と諦めない姿勢で軽減に繋ぐ “昇進時”に発症しやすい傾向も

乾癬の治療法は飛躍的に進化(イラスト/いかわやすとし)

乾癬の治療法は飛躍的に進化(イラスト/いかわやすとし)

 慢性の炎症性皮膚疾患である乾癬は皮膚が肥厚して赤い発疹(紅斑)ができ、白っぽいふけのようなもの(鱗屑)が付着し、ぽろぽろ剥がれ落ちる。皮膚疾患の範囲が広い重症では関節炎を発症することも。また血糖値や血圧の上昇、心血管疾患などを引き起こすリスクが高い。治療は外用薬や光線療法、生物学的製剤などの治療法があり、中等症向け内服薬も承認された。

 国内の乾癬患者は約43万人と推計され、2対1の割合で男性が多い。発症のピークは男性が40~50代、女性は20代と50代。皮膚の一部に紅斑や鱗屑を生じる尋常性乾癬が約90%で、重症例では様々な炎症性疾患を併発する。原因は食生活の洋風化による高カロリー・高脂肪食などだが、肥満や喫煙も高リスクだ。

 名古屋市立大学大学院加齢・環境皮膚科学分野の森田明理教授に話を聞いた。

「皮膚疾患の範囲が広い重症の乾癬では関節炎を併発しやすくなります。さらに血糖値の上昇や脂肪肝、高血圧、脂質異常症の他、心血管系イベントなど全身性炎症疾患のリスクも上昇します。つまり、乾癬はメタボリックシンドロームの原因の一つであるといっても過言ではありません」

 乾癬が全身の炎症性疾患を起こすのは共通する因子が関係している。TNFα、IL-17、IL-23、IL-6などの炎症性サイトカインが、それぞれ体内を駆け巡り、その結果、様々な障害を引き起こす。

 現在、乾癬の治療法は飛躍的に進化している。基本は外用薬塗布だが、光線療法、生物学的製剤など選択肢が広がっている。皮膚疾患が局所に留まっている場合には外用薬の塗布だけ行なうことも。

 また皮膚疾患の程度によっては各種の治療法を組み合わせ、効果を高めることも可能だが、それらにより、症状が改善したとしても併発する病気は治療できないケースもある。そのため定期的な血液検査と疾病ごとの適切な治療が必要となる。

 近年、有効性が高く、安全な乾癬治療として注目されているのが光線療法だ。紫外線の特定の波長は皮膚免疫を制御でき、それを応用している。

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン