夫人の行動力を、ウクライナのセルギー・コルンスキー駐日大使は自身のTwitterで、訪問時の映像とともに「彼女は勇敢で強い」とコメントしていた。ネットや報道で彼女のウクライナ訪問を知った人の多くも、それと同じような印象を持ったのでないだろうか。
デヴィ夫人は自身のブログで24日、現地では警察とミリタリー・ポリスの警護がついていると、彼らと笑顔の写真も公開。「私は戦争もクーデターも革命も暴動も経験しております。大丈夫です」とも記している。
言われてみればそうなのだ。今の日本政府の閣僚や官僚たちの誰よりも、デヴィ夫人は戦争やクーデターがどんなものかを知っている。”経験している”というたった一言の言葉がどれだけの重みがあるのか、そこにどれほどの覚悟が込められているのか。電撃訪問といいながら、おそらく安全に物事が進むよう詳細に計画され細心の注意を払いながら、実行したに違いない。
ネット上ではデヴィ夫人と岸田文雄首相を比較する声もあった。検討という言葉を多用し決断できず、防衛政策については説明不足で、岸田内閣の支持率はANNの世論調査で28.1%に低下。23日の施政方針演説では「未来に希望が持てる、そんな日本を創っていきたい」と述べ、決断という言葉を6回も使い、「検討も決断も議論もすべて重要であり必要だ」と述べているが、首相への印象がすぐに変わるものではない。
日本政府は「ロシアによるウクライナ侵略を踏まえた対応について」という特設ページを更新し、”日本はウクライナと共にあります”と強調。首相のウクライナ訪問も検討中というが、自民党内には訪問への期待だけでなく、パフォーマンスや人気取りと揶揄する向きもあるらしい。日程や移動経路の秘密保持や護衛など課題は多いようで、松野官房長官は会見で「何ら決まっていない」と述べたのみだ。
キーウで取材に応じたデヴィ夫人は、ウクライナは「暖房もなく電話も通じにくい厳しい状況です。日本はもっと積極的に支援しなければと思います」と語ったという。在日ウクライナ大使館はTwitterで、「ウクライナへの人道支援活動をしていらっしゃるデヴィ夫人に感謝申し上げます」と謝意を表明した。政府として国民全般へ向けた対応を説明することはわかるが、松野官房長官も、もう少し言い様がなかったのだろうか。