阪神生え抜きスターならではのメディア操縦術
18年ぶりの“アレ”に向けて、阪神の戦力はどうなのか。
「野手ではドラフト1位の大山悠輔、近本光司、佐藤輝明がレギュラーとなってチームを支えている。投手陣も青柳晃洋、西勇輝の中堅が安定しており、伊藤将司や西純矢などの若手も伸びている。年齢構成のバランスも良く、ここ数年いつ優勝してもおかしくないだけの戦力は整っていました。そこに2005年に優勝に導いた岡田監督が誕生した。否が応でも“アレ”への期待は高まります」
一昨年は開幕ダッシュに成功して6月には2位に最大7ゲーム差を付けるなど独走していたが、ヤクルトに追い上げられ、わずか5厘差で優勝を逃した。昨年は3、4月に9勝20敗と借金11を作ってしまったが、最終的には3位に滑り込んだ。
「矢野燿大監督は一昨年の終盤の優勝争いでドッシリ構えられなかったところもあるし、昨年はキャンプイン前日に今季限りの退任を発表してチームを混乱させてしまった。もちろん、若手を抜擢して育てた功績は大きいですが、優勝監督に備わっている“余裕のある振る舞い”はできなかった。
阪神はマスコミに注目され、負ければ大きく叩かれるので、監督はどうしてもナーバスになりがちです。野村克也監督でさえ、最後は記者陣と喋らなくなりましたからね。その点、岡田監督は生え抜きのスターなので阪神という球団特有の体質を熟知しており、マスコミともうまくやっていける。“アレ”という言葉を浸透させる点からも、メディア操縦術に長けているし、余裕を感じます」
阪神1次政権時代とオリックス監督時代の違い
岡田監督の手腕を不安視する声もある。2004年からの阪神1次政権では5年間で1度の優勝を含む4度のAクラス入りを果たしたが、2010年から指揮を取ったオリックスでは5位、4位、6位と3年間Bクラスに終わった。それ以来、11年ぶりの監督業となり、若手選手とは祖父と孫くらい年齢に差がある。