1月20日の厚労省審議会によると、新型コロナウイルスのワクチン接種開始から昨年12月18日までに接種後の死亡として報告された事例は1966人。ワクチン接種後の体調変化を危惧する人も多いだろう。ではいったい、接種後のどんな行動を避けるべきなのだろうか──。
接種後、「入浴中」に死亡するケースもある。2021年1月に亡くなった長野県在住のTさん(当時81才)の娘が語る。
「1回目のワクチン接種後に首や背中の痛みを訴え、夕飯前に“体を温める”といって浴室に入り、そのまま風呂の中でうつぶせになって亡くなりました。わが家は脱衣所が床暖房で、浴室にも暖房が入っている。ヒートショックの可能性は考えられません。
父はコロナ禍になる前はグラウンド・ゴルフや散歩を趣味にしていましたし、スクールボランティアで登下校中の見守りもするくらい健康で元気な人でした。常用していた薬はありません」
名古屋大学名誉教授で医師の小島勢二さんが指摘する。
「ワクチン接種後、入浴中に亡くなった57人を分析すると接種当日が10人、翌日に亡くなられたかたが30人います。例年、夏は入浴中に亡くなるかたは少ないですが、接種後に風呂場で死亡する例は夏でもみられます。接種後の突然死に入浴が何らかの形で関与する可能性があるので、さしあたり接種当日や翌日は入浴を控えた方がいいでしょう」
自宅内で風呂場とともに危険なのが「トイレ」だ。
「40代女性は1回目接種から5日後の早朝にトイレで心肺停止し、肺塞栓で亡くなりました。また60代男性は1回目の接種から8日後の朝、トイレに入ったまま20分ほど出てこず、家族が確認するとトイレ内で意識を失っていた。そのまま死亡し、死因は胸部大動脈解離と診断されました」(全国紙社会部記者)
血液内科医の中村幸嗣さんは、「朝のトイレは危ない」と指摘する。
「朝は血圧が上がりやすいうえ、トイレでいきむと血圧が急上昇し、脳出血などを起こす恐れもあります。特に生活習慣病の持病があって血管の状態が悪い人がワクチンを接種すると体に負担がかかり、トイレでのいきみが最後の一押しとなるかもしれません」
寒い時期だけに朝のトイレにはくれぐれも気をつけたい。
「飲酒」や「喫煙」も接種後の体調に大きく影響する。厚労省の報告書によると、アルコール依存症の80代男性は肝機能悪化、1日40本のヘビースモーカーだった40代男性は急性心筋梗塞でそれぞれ接種後に死亡した。
「過度の飲酒や喫煙は血流を速めて、循環器に負担をかけます。接種前後は規則正しく健康的な生活を心がけ、睡眠や栄養を充分にとってストレス解消を心がけてほしい。また、カロリーを制限するダイエットは心身に大きな負荷がかかり、体調を崩す原因になります。体調を整えるためにも、接種前後のダイエットは避けるべきです」(中村さん)