物価・賃金・生活総合対策本部の会合で発言する岸田文雄首相(時事通信フォト)

物価・賃金・生活総合対策本部の会合で発言する岸田文雄首相(時事通信フォト)

「趣味のレベルを下げました。趣味を辞めるほどじゃありませんが、新品を中古にしたり、下のランクで済ましたりするようになりました。なるべく無料でなんとかなるものは無料で、という感じですね。結婚して子どもができても気にせず趣味につぎ込めたのに、ここ5年くらいで変わった気がします」(40代、営業)

「電気とガスですよ。はっきり言って『やばい』くらい上がってます。子どもといっしょに楽しく節約ですね。うちはプロパンガスだから国の支援もないですし、寒くてもこたつで我慢、風呂も全員で入る、もうやけくそなんで、家族で貧乏を楽しむことにしています」
(50代、営業)

 政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」でプロパンガスは対象外である。この他にも「人気ラーメン店に行く回数を減らした。高いから」「ゲームは無課金がほとんど。惜しげもなく突っ込める人がうらやましい」といったささいなレベルダウンから「車を1台減らした」「家賃の安い埼玉に引っ越した」「子どもの習い事で将来性なさそうなのを辞めさせた」といった深刻なレベルダウンもある。

中間層がレベルダウンを迫られ消えてゆく

 振り返れば、1970年代の国民負担率は20%台、1990年代から2000年代にかけても30%台であった。とくに50代の意見として「1990年代とくらべて稼いでいるはずなのに、使えるお金が減っている」という意見があった。「独身だったことを差し引いても、あの時代のほうが無駄に使えた」とも。

 2013年から40%台となり、徐々に悪化を始めた。コロナ禍などの影響があったにせよ、2020年代には国民負担率48.1%(2021)、潜在的国民負担率62.9%(2020)といずれも最高値を記録している。江戸時代の負担になぞらえれば「五公五民」どころか「六公四民」である。

 ちなみに「六公四民」は年貢率60%なので一揆が起きると敬遠されることもあった徴税率である。これらはあくまでも例え話で時代や藩にもよるし、年貢は米が中心だったので他の仕事で生活防衛を図っていた。重税で苦しいから米以外の作物を作ったり狩猟をしたり、民芸品を作るなどの「副業」で生活防衛というのは、これまた現代の「サラリーマンも副業しよう」と同じか。封建時代に戻ってしまったみたいだ。

 増税、物価高、社会保障の負担増、そして電気やガスの高騰。一般的には収入源の限られたサラリーマンにとって、「増やすより減らす」というレベルダウンが年収の低い順、生活に金のかかる順に襲ってくる時代、子育てはもちろん、単身者にも中高年ともなると親の介護問題、それどころか自分の健康問題も襲いかかる。そもそも自身の老後に備えた貯金だって必要だ。調査によっても上下するが、最低でも老後資金は2000万円(金融庁、2019年)必要とされている。

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン