佐々木にスライダーをアドバイスすると「アメリカでスイーパーと呼ばれる(大きな曲がりの)スライダーを投げている」と絶賛

佐々木にスライダーをアドバイスすると「アメリカでスイーパーと呼ばれる(大きな曲がりの)スライダーを投げている」と絶賛

「大きな変化があったのは去年」

 それにしても、初日に誰しも驚いたのがダルの変貌ぶりだ。東北高校から北海道日本ハムに入団して早々、未成年喫煙が報じられて謹慎処分に。悪童と呼ばれた男が日本のエースに成長しても、取材時には興味のある話題には言葉を尽くすものの、不勉強な質問には質問者と眼を合わせない。意見を積極的に発信するアスリートでは絶対になかった。第2回のWBCで世界一となった2009年にインタビューした時、22歳の彼はこう話していた。

「僕はあんまり、人と話をするのが好きじゃない。人を分析するのは癖なんですけど、いつもこそっと観察しているだけ。『お前、喋りかけるなオーラが出てるよ』ってよく言われます」

 14年が経過し、36歳になった彼は「以前の僕は神経質だった」と振り返る。だが今の彼の元には常に人が集まっている。そして、笑顔を振りまくダルがいる。

「自分自身に大きな変化があったのは去年。この前、契約をいただきましたが、現実的に考えて長く野球をできる保証はない。いつ野球が最後の日になってもおかしくないと実感したことでいろいろなものが晴れていった」

 史上最強と目され、ダル自身が参加した2009年の第2回大会以来となる世界一に挑む侍ジャパンの強みとは何か――そう質問されたダルはこう答えた。

「人と人の距離がすごく近い、短期間で普通はまとまりづらいがこのチームはそれができる。チーム一丸となった野球がみせられる。投手力も、アメリカやドミニカにも負けてないし、打撃でも勝負できると思う」

 チームが一丸に──そうしたしおらしい発言は、東北高校時代でも聞かれなかった言葉だ。それだけに、本心であることが伝わってきた。

後編へ続く

撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2023年3月10・17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン