細菌学者であり環境保護活動家でもあったルネ・デュボスは著書『健康という幻想』に「伝染病が流行するには、病原微生物をもってきただけではたりない。流行はみな、なんらかの社会的状況で条件づけられている」と書いています。感染症が流行するには原因である病原体だけでなく、何らかの社会的な背景、条件が必要であるとしているのです。
ならば今、私たちは早急に感染症が流行し難い環境づくり、流行時でも速やかに適切な医療が受けられる体制を最優先に構築すべきではないか、と思うのです。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2023年3月10・17日号