最後に、泌尿器科医としてED(勃起不全)患者などの診察も行なっている井上医師は、ある「早漏治療薬」の服用にこう注意を促す。
「ダポキセチンは、日本では抗うつ薬として使われるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に分類される成分で、海外では認可されているものの、日本では早漏治療薬として認可されていません。私が早漏治療をするならクリームやスプレーなど、局所使いをするタイプを使います。早漏治療薬として第一選択薬になり得ないとの観点から、私は飲みません」
日本ではメンズクリニックなどで保険適用外処方としてメジャーとなっているが、井上医師が飲まない理由は何か。
「離脱症状が気になるからです。一般的にはめまいや頭痛、吐き気などの身体症状のほか、イライラ、不安、不眠などの精神症状があります。服用するとやめにくくなる点からも、安易な服用はしたくありません」
メンズクリニックや泌尿器科での処方時に減薬の仕方まで指導するケースは少ないと考えられるため、服用には注意が必要だという。
どんな薬が必要で、どんな薬ならやめられるかは人それぞれ。まずは信頼できる医師と自らの処方薬について見直す機会を持つようにしたい。
※週刊ポスト2023年3月31日号