古びたテーブルに背もたれのない簡素なイス、壁いっぱいには無造作にポスターが貼られている。1皿300円台からという都内にある激安の大衆焼き肉店。その店内奥の片隅に座っていたのが、ジャニーズ事務所内で異彩を放つ、A.B.C-Zの河合郁人(35才)だ。3月下旬のとある夜、同年代の男性2人と酒を飲みながら、和気あいあいと焼肉をつついていた。気さくな雰囲気は、テレビ番組で見るイメージそのものだった。
長い下積みを積んできた。ジャニーズ入所は、24年も前の11才のとき。ジャニーズJr.の中では、ユニットA.B.C.として活動して、2008年からはA.B.C-Zにスケールアップ。2012年にはCDデビューも果たしたが、そこから伸び悩んだ面があった。
河合もテレビのトーク番組で「デビューした後に、マネジャーさんに『みんなのスケジュール今月白紙だよ』って言われてショックでした」と明かしたこともあった。ある芸能関係者によれば、「その後にデビューした、ジャニーズWESTやKing&Prince、Snow Man、SixTONESたちの勢いが凄まじかったぶん、伸び悩んでいたようにみえますが、メンバーの実力は本物だったといわれています」という。
実際、河合自身、自らの力で活路を開いた。「ジャニーズ好きのジャニーズタレント」を名乗り、木村拓哉(50才)や松本潤(39才)、亀梨和也(37才)ら事務所の先輩らのものまねをバラエティー番組でも積極的に披露していき、2020年には『ものまねグランプリ 次世代ものまね芸人No.1決定戦&歌ものまねNo.1決定戦スペシャル』(日本テレビ系)に出演。同年は、出演番組数で関ジャニ∞の村上信五(41才)に次ぐ同事務所タレント第2位になるまでに大ブレークした。
「ちょっと誇張したようなモノマネもありましたが、それらを先輩たちが快く受け入れてくれたことが大きかったですね。愛されキャラの彼の人徳もあったわけです」(前出・芸能関係者)
河合は「デビューから10年。とにかく何かを残さないと、個人としてもグループとしても成長できない。まずは、自分の特技で世に知っていただこう。本気出そうと、事務所にお願いして、ものまねグランプリに出場させてもらった」と振り返っている。
今では、バラエティーにとどまらず、番組MCやコメンテーターと活動の幅が広がり、テレビで見ない日はないほどになった。