本当の「横浜優勝」を目指すためには、三浦大輔監督の非情采配が鍵になる──。横浜DeNAベイスターズが25年ぶりのセ・リーグ優勝に向かって好調な滑り出しを見せている。3、4月は16勝7敗と貯金9を作り、5月に入っても首位をキープしている(記録は5月5日現在。以下同)。
「エースの今永昇太は4月21日、2020年のサイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアーは5月3日に初登板。4月はほとんど2人を欠いた状態で首位だった。この2枚看板はさらに調子を上げていくでしょう。もともと、潜在能力の高い投手は多く、ケガ人さえ出なければリーグ随一と言える投手陣を誇っている。そう簡単に大崩れはしないでしょう」(野球担当記者。以下同)
だが、DeNAには苦い記憶もある。中畑清監督時代の2015年、序盤は首位を走りながら、交流戦で3勝14敗1分と歴代ワーストの勝率1割7分6厘と大失速。前半戦こそ首位で折り返したが、最終的には最下位でシーズンを終えた。
「当時は前年まで9年間で6度も最下位になっていましたし、序盤の好成績は、いわゆる“春の珍事”とも受け止められていました。しかし、今のDeNAの選手は、優勝経験こそないものの、クライマックスシリーズにも進出していますし、あの頃とは戦力が違います。簡単に首位からBクラスに転げ落ちるとは思えません」
「1番・佐野」を続ける姿勢
今季、三浦大輔監督は2020年の首位打者・佐野恵太を1番、昨年までトップバッターを務めていた桑原将志を5番にする新打線を組んでいる。チーム打率はリーグトップだが、得点はリーグ3位。このオーダーが機能しているかは微妙だ。
「DeNAは8番に入る捕手の打力があまりないので、下位打線でチャンスを作って1番の佐野を迎える場面があまりない。佐野は足が速いわけではないし、やはりクリーンアップを打たせたほうがいいのではないかという意見も根強い。
ただ、三浦監督はそんな意見を承知の上で、佐野を1番で使い続けている。信念は、監督にとって最も必要な要素です。前任者のラミレス監督は8番に投手を入れたり、2番に主砲の筒香嘉智を持ってきたり、代打に投手のウィーランドを送ったりすることもあった。奇抜な采配だと批判されてもブレず、5年間で3度Aクラスに入り、2017年には日本シリーズにも進出した。横浜の歴代監督のなかで、トップクラスの成績を残しました。三浦監督の『1番・佐野』を続ける姿勢は、ラミレス監督から学んだ面もあるかもしれません」