「薬」が便に与える影響
記入項目は「便の状態・硬さ」から「食事内容」「睡眠時間」まで幅広い。たとえば「便の状態・硬さ」は【1】コロコロ便、【2】硬い便、【3】やや硬い便、【4】ふつうの便、【5】やややわらかい便、【6】泥状の便、【7】液体状の便の7段階に分別して記録する。
監修者の中島教授は、「便の状態・硬さ」が最も大切だと指摘する。
「7タイプに分類したうち、タイプ【4】のようにバナナ状の、長くやわらかく出る便が理想ですが、日本での報告を見ると、便秘の治療をしている人はタイプ【2】のように硬い便の方が多い。もちろん、出ないよりは出るほうが良いのですが、便が硬い人は食物繊維(野菜など)や水分を摂取するように心がけてください。
また『排便時の症状』も健康状態のバロメーターになります。例えば便が硬くて『排便時に強くいきむ』という人は、いきむことで血圧の上昇や、場合によっては脳卒中などを引き起こしかねませんし、出血を伴う方は痔や大腸炎、大腸がんなどの可能性もあるので注意が必要です」
一見すると便との関係が見えづらいのが「のんでいる薬」だが、この欄にはこんな意図があるという。
「糖尿病の薬や精神科系の薬を服用した結果、便秘を引き起こす場合もあるからです。薬を原因とする便秘であれば、医師や薬剤師に相談すれば見抜くきっかけになります」(中島教授)
この『腸から健康日誌』に収録されている記録用紙は5週間分。「それだけ記録すれば自分で便の状態の変化に気づけたり、専門家の相談でも役立てられる可能性が高い」(同前)という。冊子は全国の薬局などで配布されているので、健康日誌で排便習慣を見直してみては?
取材/河合桃子 撮影/井上たろう
※週刊ポスト2023年5月19日号