国内

ペットフードが「食品」として扱われない現状 原材料に廃棄肉を多用、サルモネラ菌や大腸菌が検出された例も

危険な物質が混入されている場合も(写真/PIXTA)

危険な物質が混入している場合も(写真/PIXTA)

 ちぎれんばかりにしっぽを振って駆け寄ってくる愛犬。いつもはつれないのに、勝手に布団に入ってきて一緒に眠る愛猫──とにかくペットが可愛くて仕方ない人は多いだろうが、ペットフードには注意が必要だ。

 2007年、アメリカで販売された中国製ペットフードから有害物質のメラミンが検出され、大規模なリコールが発生した。このとき死亡した犬や猫は100頭以上といわれる。メラミンは2008年、中国で5万人以上の子供に腎結石などの健康被害が出た「粉ミルク汚染騒動」で問題になった。たんぱく質の基準値を偽装するため、たんぱく質量の測定基準となる窒素が多く含まれたメラミンを、業者が故意に混入したと報じられている。

 2017年にはアメリカで高級ペットフードに動物を安楽死させるために使用される薬品の「ペントバルビタール」が混入しており、これを食べた200頭以上の犬のうち5頭が体調を崩し、1頭が死亡した事例がある。この薬品で安楽死させられた動物の肉が原料に混入し、薬品成分の入ったフードが出回ったのではないかとみられている。

 連続する痛ましい事件の背景には、ペットフードが「食品」として扱われていない現状がある。人間が口にする食品には、「食品衛生法」や「食品表示法」といった法律が適用され、品質が確保されている一方、ペットフードは「雑貨」という扱いになる。日本では前述のメラミン事件を受け2009年に「ペットフード安全法」が施行されたものの、人間の食べるものに要求される農薬や添加物、汚染物質の残留基準には遠く及ばない。

 多くのペットフードに使われる「肉副産物」「ミートミール」といった原材料には、人間が口にすることなく廃棄される肉の部位が用いられることが多いという。ペット栄養管理士の伊藤悦子さんが言う。

「肉副産物とは、肝臓や脾臓、腎臓、肺、胃腸、骨、脂肪組織といった部位のこと。これらの部位はビタミンやミネラルが豊富で栄養価が高く、犬や猫にとって重要なものです。野生の犬や猫が獲物の内臓まで食べていたことを考えれば、理にかなっているといえます。

『ミール』とは、牛や豚、ヤギ、羊などの血液や毛皮、ひづめ、角、反芻動物の胃の内容物、その他の組織を取り除いた動物組織を加圧、加熱処理したもの。これも同様に、ペットにとっては重要な栄養源です」(伊藤さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン