だが、死んだ動物の体を使ってつくられている以上、前出のアメリカの事件のように“何が入っているかわからない”ものがあるのも事実だ。『犬にいいものわるいもの』『猫にいいものわるいもの』などの著書があるウスキ動物病院院長の臼杵新さんが言う。
「牧場で突然死した牛などは、人間の食品として流通することはありません。ですが、病原菌によって死んだ家畜の肉が“裏ルート”で流通し、基準のゆるいペットフード用に加工されることがあっても、不思議ではないでしょう。衛生観念の低い国でつくられたものは何が入っているかわかりません。特に中国からのものは疑問視した方がいい」(臼杵さん)
とはいえ、現在、日本で販売されているペットフードには、食べたとたんに病気になったり、死に至らしめたりするような危険なものはない。ペットフード安全法に基づき、規格や基準を満たして製造または輸入されたものだけが流通する仕組みになっている。
「国と独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)が抜き打ち検査を行い、問題のあるフードには回収・廃棄の命令が下されます」(伊藤さん)
だが、リスクはゼロではない。2019年、ペット用の間食からサルモネラ菌と大腸菌群が検出され、これを食べた68頭の犬猫に健康被害があり、うち15頭の犬が死亡した。本来は安全なフードでも、メーカーの倉庫や店頭、そして家庭での保管方法まで徹底しなければ、本当に安心できるとは言えないのだ。
「開封前は高温・多湿を避け、日光の当たらない涼しい場所に保管してください。開封後は、ドライフードは空気に触れさせないようにし、結露を防ぐために冷蔵庫には入れず、常温で密封保存してください。
ウエットフードは非常に腐敗しやすいため、フードボウルに入れて20分経っても食べなかった分は廃棄を。袋に残った分は密閉容器に入れて冷蔵庫で保管し、その日のうちに消費してください」(伊藤さん)
※女性セブン2023年5月25日号