愛するペットの長生きを願うなら、食事にも気を使う必要がある。近年、ペットフードから問題がある成分が検出される事件も少なくないが、愛する家族に安全なものだけを食べさせるためには、ペットフードをどう選ぶべきか。ペット栄養管理士の伊藤悦子さんは、次の5つの基準でチェックするといいと話す。
【1】犬には犬用、猫には猫用を与える。
「犬と猫では、必要とする栄養バランスが異なります」(伊藤さん・以下同)
【2】「総合栄養食」を選ぶ。
総合栄養食とは、それ1種類で犬猫が必要とする栄養素を摂取できるもののこと。
「『ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています』または『AAFCO(米国飼料検査官協会)分析試験による栄養基準をクリア』と記載された総合栄養食であれば、品質が担保されているといえます」
【3】たんぱく質の割合が高いものを選ぶ。
犬や猫は人間よりも必要とするたんぱく質の割合が多い。
「『チキン』『ラム』など、動物性たんぱく質の原料が、ウエットフードなら先頭に、ドライフードなら2番目に記載されているものなら、たんぱく質の割合が高いといえます」
【4】個体に合ったものを探す。
「子猫用」「成犬用」「シニア用」など、ライフステージに合わせたものを。
「ペットフードのパッケージには、たんぱく質、脂肪、粗繊維、灰分(ミネラル)、水分の『保証分析値』が書かれています。飼っている個体に合った割合かどうか確認するといいでしょう」
【5】信頼できるメーカー、価格、小売店のものを選ぶ。
歴史の長いペットフード会社は、蓄積されたデータの多さから信頼できると考えられる。また“炎天下の直射日光の下、投げ売りされていた”など、品質を劣化させるような売り方をしている店は論外。フードを丁寧に扱っているペットショップなどで購入すれば、安心度が高い。
一方、『犬にいいものわるいもの』『猫にいいものわるいもの』などの著書があるウスキ動物病院院長の臼杵新さんは、このようなチェックポイントをあげる。
「あまりにも安いものは、質が悪かったり、原材料に病原菌が入っている恐れもあるため、避けるべきです。高級であればいいというわけではありませんが、少なくとも“大袋で安く売られているものは怪しい”と考えた方がいい。
もともと人間用の食品をつくっていたメーカーや、動物病院用の処方食を出しているメーカーのものは、食品衛生の知見や経験があります。国産、EU産には比較的安全なものが多いといえるでしょう」
近年は「人間も食べられる」という基準を満たした「ヒューマングレード」のペットフードも登場している。北海道産乳を使ったチーズや生キャラメルで知られる花畑牧場はこの春から、ヒューマングレードの犬猫用の間食を全国で発売している(直営店では昨年12月から)。