日本整形外科学会専門医の清水医師(清水整形外科クリニック院長)は、患者に提供する医療の選択肢を増やそうと、東洋医学を学ぶなかで出会った「漢方」を自らの健康維持にも取り入れている。清水医師が、実際に服用している漢方について説明する。
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埼玉医科大などの勤務医を経て17年前にクリニックを開業しましたが、町医者なので風邪などの一般的な症状で来院される患者も多く、専門の整形外科以外の症状も診るようになりました。
そのなかに原因不明の腹痛を訴える患者がいました。薬を処方しても効果がなく治療は難航、次第に西洋医学そのものに限界を感じるようになりました。そこで12年ほど前から東洋医学の勉強を始め、自分自身で漢方薬を試してみました。すると様々な症状に対する効果を実感し、安心して勧めるようになりました。
私が飲んでいるのは、医療用の粉末です。基本的に漢方薬は吸収がいいとされる空腹時の食前に飲みますが、粉末は苦く食前に服用するとご飯がまずくなるので、食事を始める30分前に飲み、口の中の苦みが消えてから料理を楽しんでいます。
実際に飲んでいる漢方薬の組み合わせは症状ごとに主に7通り。仕事柄、下を向いてカルテを書くことが多く、首がよく痛くなります。痛みが激しい時は消炎鎮痛剤を朝昼晩1日3回服用していましたが、一時的には効くものの、どうしても副作用で胃の不快感が出てしまう。
そこで5年ほど前から漢方薬に切り替え、首が重いと感じたら葛根湯と通導散を朝晩1日2回、1袋ずつ飲むようにしたら、激しい痛みが出なくなりました。
翌日に酒が残らない
漢方薬は膝の痛みにも有効です。私は7年ほど前にマラソンの練習中に膝の半月板を損傷し、膝に水が溜まって腫れました。水を抜く際の激痛に悩まされましたが、消炎鎮痛剤に加えて防已黄耆湯を1~2か月ほど朝晩1日2回、1袋飲んだら膝の腫れと痛みが引き、リハビリできるようになりました。
梅雨から夏への季節の変わり目に冷房をかけたまま寝て、こむら返りが起きてふくらはぎがつることもよくありました。その際、芍薬甘草湯を1袋飲むとこむら返りを予防でき、朝までぐっすり寝られるようになりました。また、これから夏にかけては夏バテやクーラーで体調を崩しやすい時期ですが、補中益気湯を朝晩1日2回、1袋飲むと疲れにくく、夜もぐっすり眠れるようになります。ご飯もおいしく食べられるようになるので、この時期の体調管理にお勧めです。