「医者の不養生」という言葉があるが、医師だって体調や数値が悪化することはある。谷本哲也医師(総合内科)は尿酸値や肝機能などが悪化した際に薬に頼らず、あるダイエットで数値を改善させたという。谷本医師が、自身が実践する健康法を教えてくれた。
* * *
今年51歳ですが、40歳を過ぎてから身体の衰えを感じるようになりました。体重が増え、疲れやすくなり加齢を実感し、血液検査で高尿酸血症や脂質、肝機能の異常も現われ始めました。
追い打ちをかけたのがコロナによる運動不足と過食です。体重が10kg以上増加して尿酸値が8以上になり、コレステロールや肝機能の数値も悪化。健康診断でいうと「Cレベル」の判定になり、“このままでは服薬治療が必要になる”と自分で判断しました。
一般的な生活習慣病はすぐ服薬するよりもまずはダイエットや禁酒、運動などで改善するのが理想で、私も患者に安易に薬に飛びつかない対処法を勧めています。それなのに自分がすぐ薬に頼るのは立場的に問題なので、本腰を入れて食事運動療法に取り組み始めました。太った医師が「体重を減らそう」と患者に言っても説得力がないですしね。
とはいえ、運動や食事に気をつけて体重を数kg減らすことはできても、リバウンドの繰り返しでした。一時的に減量に成功しても長期間理想体重を維持するのは難しいと実感し、負担が少なく、習慣的に続けられる方法が重要と考えました。
そこで着目したのが、「間欠的ファスティング(断食)」です。世界の一流医学誌でも取り上げられており、1日16時間絶食し、残り8時間は自由に食べる方法です。通称「8時間ダイエット」。
お金がかからない
人間は体内のブドウ糖をエネルギー源にしますが、10時間ほど絶食するとブドウ糖を使い切ってしまい、脂肪酸からケトン体を生成しエネルギー源にするため、脂肪が分解されて痩せるとされます。また、飢餓状態では体内の老廃物を分解するオートファジーの働きが活発になり、身体の老化を防ぐとも言われます。
私は夜間診療が多いので夜の時間帯に絶食を組み込み、朝7時から午後3時までの8時間で2食食べることにしました。最初の1か月はしんどかったですが、徐々にリズムに慣れていきました。