「人生100年時代」は、いかに「元気で長生きできるか」が焦点となる。「健康寿命」を左右する要素は数多くあるが、なかでも重要なのが「心臓」の健康だ。心疾患は、長くがんに次いで日本人の死因2位になっている。
健康維持に「100年もつ心臓=100年心臓」が大事になると説くのが、「血管の専門医」で『60歳を過ぎても血管年齢30歳の名医が教える「100年心臓」のつくり方』(東洋経済新報社)の著者・池谷敏郎医師(池谷医院院長)だ。
「100歳まで元気に生きるには、“血管をしなやかに開く”ことです。血管を通じて酸素や栄養の供給を受ける全身の臓器はもちろん、血液を送り出す心臓自体も冠動脈によって養われているのです。また、血管がしなやかに開くことは血流の抵抗を減らし、“ポンプ”として働く心臓の負荷も減らします」(以下、「 」のコメントは池谷医師)
心筋梗塞や狭心症、心不全といった「心臓のトラブル」を回避するためにも、「血管力の向上」「血管年齢の若返り」を目指す意義は大きいのだ。
池谷医師は61歳になるが、「血管年齢」は30代をキープしている。学生時代は体育会系だったが、徐々に太り始め、30代では立派な「メタボ体型」になったという。
「自分がメタボと気づいた36歳で血管年齢を測ったら、45歳と実際より高齢化していました。メタボは動脈硬化の最大の危険因子なので、そこから血管年齢の若返りを意識し始めたのです」
効率や栄養バランスを考慮したダイエットに加え、適度な運動を実践したところ、池谷医師は40代以降、適正体重を維持している。
「血管年齢は、血管の拍動を検査することにより血管の“硬さ”が何歳に相当するか推定したものです。樹齢100年の桜の木が花を咲かすように、加齢に伴って動脈硬化が進んでも、悪しき生活習慣を正して末端の血管をしなやかに開けば、血管年齢を若く保つことができます。私自身、生活習慣の改善で実年齢より若くなり、直近の計測でも30代でした」
コロナ禍を経て「過食」「運動不足」となるケースが増え、高血圧や糖尿病など「動脈硬化の危険因子」が身近になった。
「今こそ動脈硬化を防いで、心臓の負担を減らすべき時だ」と池谷医師は言う。では、具体的にどうすればいいのか。