「予定不調和」を狙う前に、まずは「調和」をちゃんと作る
インタビュー中、たびたび「予定不調和」という言葉がでてきた。「予定不調和」は生放送の醍醐味。それはどのようにしたら起こるのだろうか。
「言ってました? 恥ずかしい。予定不調和って言葉はあんまり好きじゃないんですけどね(笑)。やっぱり調和をちゃんとまず作るのが大事。台本──つまりフリの部分で、「多分こうなるだろうな」という流れをしっかり作って、その時点で80点面白いようにしておく。その上で、一般の方に参加してもらうとか、澤部(佑)さんの代役に(ハリウッド)ザコシショウさんをぶっこむとか、予測不能なフリーの部分を入れていくと予定不調和が生まれやすい。
台本の時点であっちいったりこっちいったりしているものがたまにありますけど、それでは予定不調和が起こる隙がないし、裏で仕組んで“予定不調和に見える予定調和”を起こすのは僕らも面白くない。だから、予定不調和が起こらなくても面白いものを作るのが第一だと思います。
『ファミリープレッシャー』の最後に子どもたちが澤部くんを笑わせようとするコーナーがありますけど、あれなんかは予定不調和の塊。選んだディレクターのセンスがあると思うんですけど、あの子どもたちは、ちゃんとしてるようでちゃんとしてないんですよ(笑)。だから急に『ボクの誕生日を祝って』って台本になかったことを勝手に言い出す。やっぱり爆笑でしたよね。岩井(勇気)さんや澤部さんが涙流して笑っていたら、僕らが思ってもみないことが起きたときだって思ってくれていいかもしれないですね」
(後編に続く/文中一部敬称略)
【プロフィール】鈴木善貴(すずき・よしたか)/『ぽかぽか』総合演出。2003年にフジテレビジョン入社後、『トリビアの泉』、『お台場明石城』、『キャンパスナイトフジ』、『アウト×デラックス』などを担当。
◆取材・文 てれびのスキマ/1978年生まれ。ライター。戸部田誠の名義での著書に『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『タモリ学』(イーストプレス)、『芸能界誕生』(新潮新書)、『史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989』(双葉社)など。