蛯名正義厩舎は今年のレースに4歳牡馬レッドモンレーヴで参戦します。ここまで9戦して5勝2着2回。うち東京コースでは前走の1400m京王杯スプリングカップ(SC)とマイル戦2勝の計3勝。得意にしているコースではありますが、今年は大阪杯の覇者ジャックドールの他、ソングラインやシュネルマイスターなど何頭ものGI馬が顔を揃えています。
前走から中2週ということもあって厳しい戦いになることは覚悟していますが、レッドモンレーヴは不思議な“運”を持っています。4月に行なわれたオープン入り初戦のGIIIダービー卿チャレンジトロフィー(CT)では、1番人気に推されながら7着と期待を裏切ってしまいましたが、立て直した前走GII京王杯SCで勝ったことで、優先出走権を得ることができました。競馬にタラレバは禁物ですが、ダービー卿CTで勝っていれば、京王杯SCを使うことはなかったでしょう。しかし実績馬の出走が多い今年は、その賞金だけでは安田記念に出走できなかったかもしれないのです。
祖母が名牝エアグルーヴ、昨年勇退された師匠・藤沢和雄先生から受け継がせていただいた素質馬です。開業2年目で大レースに出走できることに感謝をしながら、精一杯仕上げてレースを見守りたいと思います。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年6月9・16日号