ちなみに元祖二刀流のベーブ・ルースが活躍していた時代は、両リーグで合計16球団しかなく、もちろん交流戦もありませんでした。また、ルースはア・リーグのレッドソックスとヤンキースで現役生活の大半を過ごしたため、全球団から勝利投手とホームランは達成できませんでした。仮に達成していたとしても、当時の16球団より現在の30球団を制覇した方が、その数字が示す通り、倍ぐらいの価値があると言っていいでしょう。
もし大谷さんが他球団、特にナ・リーグのチームに移籍したと仮定した場合、前人未到の「全30球団から勝利投手&ホームラン」という、とんでもない記録が生まれるかもしれません。
全30球場で勝利投手&ホームラン
大谷さんにしかできない、記録達成への期待はさらに続きます。
今度は対象が対戦チームではなく場所。「全30球場で勝利投手&ホームラン」です。2022年のシーズン終了時点で大谷さんは本拠地エンゼルスタジアムをはじめ、14球場で先発登板し、そのうち10球場で勝利投手になっています。一度も投げてない球場は16もあり、全30球場での勝利投手は長い道のりとなりそうですが、今年だけで初めて投げる可能性のある球場が10もあります。
なかでもニューヨーク・メッツの本拠地シティフィールドには初見参となり、ソフトバンクからメッツに移籍した千賀滉大と投げ合う可能性もあります。また、サンディエゴ・パドレスの本拠地ペトコパークでダルビッシュ有と投げ合う可能性もあり、日本人同士の初対決も楽しみです。
一方、打者としてホームランを打った球場は19あり、ホームランを打っていない球場は9つ。すでにボストンのフェンウェイパークでは、レフト後方にそびえ立つ高さ約11.3メートルの巨大なフェンス「グリーンモンスター」越えのホームランや、ニューヨークのヤンキースタジアムで、「ルースビル(ベーブ・ルースの村)」と呼ばれたライトスタンドへの豪快な1発をマークしています。さらにボルティモアのオリオールパーク(アットカムデンヤーズ)では、まるでルースの弾道のように高々と打ち上げた先頭打者アーチなどが強く印象に残っています。
今後は、ダイヤモンドバックスの本拠地チェイスフィールドの名物、右中間スタンドの一角にあるスイミングプールに飛び込む「プールショット」、カブスの本拠地リグレーフィールドではルースの「予告ホームラン」を彷彿とさせるような超特大ホームラン、ロッキーズの本拠地クアーズフィールドでは500フィート超えの超特大弾、ジャイアンツの本拠地オラクルパークでは右翼スタンド場外のサンフランシスコ湾(通称マッコビー湾)に飛び込む「スプラッシュヒット」にも期待したいですね。