エンゼルス・大谷翔平(28)の活躍から目が離せない。新書『もっと知りたい! 大谷翔平』を上梓した大リーグ評論家・福島良一氏が注目するのが、今季から導入された対戦方式により実現する初の「カブス戦」だ。
「ナ・リーグのカブスには大谷さんと同じ1994年生まれの鈴木誠也外野手が所属。今年3月のWBCは負傷のため出場辞退した鈴木選手ですが、メジャー2年目で日本人初の3打席連続本塁打を放った鈴木選手との初競演は見逃せません。先発ローテーションどおりなら直接対決の可能性もあります」(福島氏)
見どころは鈴木誠也との競演だけではない。メジャー全30球団の対戦が実現したことで、“二刀流”大谷ならではの新たな「記録」への挑戦もかかっているという。福島氏が解説する。
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全30球団から勝利投手&ホームラン
2023年からMLBは両リーグの交流戦、いわゆる「インターリーグ」で各チームが同一シーズン中に全球団と対戦することになりました。それによって、今後は両リーグの球団で活躍している選手だけでなく、1つのリーグしか在籍したことがない選手も全球団から勝利投手、またはホームランという記録を作れる可能性が出て来ました。
2012年、当時メッツのアル・ライターが史上初めて全30球団から勝利を記録。それ以来、2022年終了時点で全30球団から勝ち星を挙げた投手は20人を数えます。日本人ではドジャースなどで活躍した野茂英雄、黒田博樹両投手が29球団から勝利。惜しくも全30球団からの勝利にはあと一歩届きませんでした。現役ではパドレスのダルビッシュ有が28球団から勝利を挙げており、オリオールズと古巣レンジャーズに勝てば、日本人初の「30球団制覇」の偉業達成となります。
今後もし全30球団から白星を挙げ、なおかつ全球団からホームランを打つ選手が現れるとしたら、それは世界広しといえども大谷さんしかいません。エンゼルスから他球団に移籍した場合、という条件付きではありますが。
2018年にMLB移籍後、大谷さんは最初の5年間で19球団中14球団から勝利。エンゼルスを除く残りの10球団とはまだ対戦がありませんが、これから毎年、全球団と対戦していくとなれば、「全球団に勝利」のチャンスは十分あります。
一方、打者で全30球団からホームランを打った選手は数多くいますが、まだ日本人選手では1人もいません。最も多いのはイチローが24球団で、次いで松井秀喜が23球団です。2022年終了時点で大谷さんは27球団中19球団からホームランを打っており、あとはナ・リーグの8球団と、まだ対戦がないカブスとブルワーズだけ。2023年シーズン開幕後、5月1日のブルワーズ戦で大谷さんは7号ソロを、6月6日のカブス戦で16号ソロを放ち、また一歩記録に近づきました。