ここで、警察庁特別防犯対策監の杉と警察庁特別防犯支援官の乃木坂46・黒見明香の2人が舞台へ上がった。現役のアイドルも登場とあって生徒たちからはわっと歓声が上がったが、挨拶が始まるとすぐ静かに耳を傾けた。
19才で現在大学生でもある黒見はこう呼びかけた。「お金をだまし取る特殊詐欺が犯罪だということはご存じだと思いますが、最近は若者をターゲットにアルバイトを集めるような形で特殊詐欺など犯罪をする人を募集しています。毎日、皆さんが目にしているTwitterやInstagram、TikTokなどのSNSにも犯罪バイトの情報が流れてきます。
甘い言葉には必ず裏があります。そうした情報にだまされないよう、決して手を出さないよう、どうか気を付けてください!」
続いて杉が、冒頭の「闇バイトは犯罪バイトです」という強い警鐘の後、自らの体験と思いを語り始めた。
「私は15才の時から刑務所で、受刑者を前に歌を歌うなどし、様々なことを学んできました。それから刑務所をみてきて、来年で65年になります。そのころから見ると受刑者の傾向は変わってきていて、今の若い受刑者と話をすると、『刑務所へ入ってみたかった』『刑務所の食事を食べてみたかった』と犯罪動機が理解できない状態になっている。刑務所はそんな“いい所”ではない。地獄のような所です。そんな場所へ行くことのないように、今日はしっかりした気持ちで聞いてください」
この日は生徒代表として各学年から3人が登壇し、「特殊詐欺に関する話を聞いての感想」「特殊詐欺から家族を守ることについての考え」などをテーマに発表し合った。
《自分勝手な興味で犯してしまったことが家族や親戚、友人の人生まで台無しにしてしまうことを考えて行動することが大切だと考えます》
《特殊詐欺について昔からテレビなどで見ることが多かった。SNSなどを通じて身近になってきてしまっているので、自覚をもって生活していきたいです》
《自分もインターネットをよく見るので、特殊詐欺への加担についてなど今後、実際に目にするかもしれない。絶対に関与しないで、怪しいなと思ったら大人の人や警察に相談して、そうやって相談できる相手を必ず作っておきたいです》
とそれぞれ語り、特殊詐欺に関与した10代のうち半数以上が高校生だったという警視庁の報告を受けて、《きょうだいが高校生なので、家族で注意して、相談できるような環境を作っておきたいと思いました》と、犯罪を身近に感じて家族を案じる生徒も。