紙飛行機を飛ばして遊びながらも、どうやったら速く飛ぶか、飛行距離を出せるのかを、子どもたちに考えさせるような声掛けをしていた
「紙飛行機を速く飛ばすには、重心を前方に置く形状がいい」とか「飛行距離を長くするには、翼は大きい方がいいのか、その逆か?」などと、子どもながらに、航空力学を体感していったといえるだろう。
その後も、プラモデルにミニ四駆と、徹さんが次々持ち込むおもちゃに宝槻3兄弟の創作意欲はかき立てられていく。次第に難しいものを作るようになり、ついにはロボットまで作り、兄弟間でロボコン(ロボットをチーム等で製作し、それを競わせる大会。ロボットコンテストの略)さながらの対戦を行うまでになっていた。
「当時、オヤジは経営していた会社を畳んでしまい、時折遠方にアルバイト的な仕事に出かけるという生活でしたから、決して裕福だったわけではありません。ですが、子どもの好奇心や探究心を育てるために必要だと思った本もおもちゃも工具類も、惜しみなく与えてくれました。
時には、作業中にけがをするようなこともありましたが、“危ないからダメ”と言われたこともありません。子どもには“これをやれ”などと無理強いするのではなく、自ら取り組ませたい。そして、遊びを通じて学ぶことで世界の広さを知り、自分なりの夢を見つけてほしいと考えていたのだと思います」
(第2回へ続く)
まんが/小出真朱 取材・文/角山祥道 取材/伏見友里 撮影/五十嵐美弥
※女性セブン2023年7月13日号