「夫は『マライはドイツ語を話すと人格が変わるね』って言うんですけど、それは言葉の文化に合わせてるんですよね。ドイツはちょっと強めに言わないとなめられるところがあるから、強いモード。日本は柔らかいモード。スイッチを切り替えてる感覚です。
でも、どちらかが不自然だとか、自分らしくないとかってことはない。今、日本語を喋っているという意識もないです。本当に自然。
と言っても、私は母語話者と同じには絶対なれない。日本人並みには。だけどそれはそれでありかなあと思ってるんです。完璧にはできないけれど、だったら自分ならではのちょっと遊んでる感じの日本語で、書いたり喋ったりしてもいいんじゃないか。そう思っています」
(了。第1回から読む)
【プロフィール】
マライ・メントライン/1983年生まれ、ドイツ北部のキール市出身。姫路飾西高校、早稲田大学に留学。ボン大学卒業後の2008年から日本在住。NHKドイツ語講座などに出演。2015年末から独テレビ東京支局プロデューサー。翻訳、通訳、著述、番組制作と幅広く活躍中の「職業=ドイツ人」。
◆取材・文 北村浩子(きたむら・ひろこ)/日本語教師、ライター。FMヨコハマにて20年以上ニュースを担当し、本紹介番組「books A to Z」では2千冊近くの作品を取り上げた。雑誌に書評や著者インタビューを多数寄稿。