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ジェーン・バーキンから学んだ年の取り方「自虐はしない、若造りもしない、年齢に関係なく女性としての誇りを持つ」

ジェーン・バーキン(写真/GettyImages)

「永遠のファッショニスタ」だったジェーン・バーキンさん(写真/GettyImages)

 フランスの歌手で女優のジェーン・バーキンさん(享年76)の死を悼む声が広がっている。マクロン大統領はツイッターで「フランスのアイコンだった」と悼んだ。作家の甘糟りり子さんは彼女に影響を受けた一人。その魅力について甘糟さんが綴る。

 * * *
 ジェーン・バーキンが7月16日、パリの自宅で亡くなった。76歳だった。

 2019年9月に脳梗塞を患い、以来家族が介護していたそうだ。亡くなる数日前から歩き出し、また自分のコンサートを行うことに意欲を燃やしていた。自立を取り戻そうとしており、ひとりきりになった最初の夜が人生最後の夜になったのだという。

 俳優、歌手、モデル。そして特別なファッション・アイコン。中年もかなり板についてきた私にとって、自分より上の世代で、無理矢理年齢に抗わず、でも現役感を失わず、スタイルを持って生きている女性をいるのは心強い。そういう人の今現在を知ると、歳をとるのが怖くなくなる。同じように感じる女性は多いと思う。きっと男性だってそうなんじゃないだろうか。私にとって、ジェーン・バーキンはそういう存在の一番手。なにもかもがかっこいい。

 ロンドン生まれの英国人だが、世間が思い浮かべるフランス女性の個性を存分に体現していた。22歳の時に知り合い、12年間パートナーだったセルジュ・ゲンズブールの影響は大きいだろう。1969年にゲンズブールとデュエットで出した『ジュ・テーム・モア・ノン・プリ』はセックスの最中の様子を歌ったもので、喘ぎ声も入っている。大ヒットする一方で、一部の国では放送禁止にもなった。これが彼女の歌手デビューだった。

 同名の映画(監督はゲンズブール)ではゲイのカップルとの三角関係に右往左往する主人公を演じた。いつもベリーショートにデニム、タンクトップ。そんな主人公がゲイの男性とのデートにはふんわりしたワンピースを着ていき、「これが女よ」という。ずっと記憶に残っている場面だ。

「無造作でナチュラルなのにおしゃれ」が一番かっこいい

「無造作」で「ナチュラル」がおしゃれで色っぽいことは、ジェーン・バーキンを通して知った。いや、違う、無造作でナチュラル“なのに”おしゃれなのが一番かっこいいことを知った。そこを勘違いして、着ているものや髪型だけ真似しても、単なるズボラになってしまう。もちろん元来の美しさもあるだろうけれど、外見だけではあの唯一無二のスタイルは完成しないだろう。心が自由でいないと無造作はサマにならない。

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