これらの事件以外にも、10代後半から20代前半のときに“第1次ブランドブーム”を経験した世代の女性が50代、60代になって詐欺や横領に手を染めたとき、共通して絡んでいたのがブランド品でした。

 20代後半から30代前半でバブルを経験。つまりグルメブームや海外旅行ブームなどを“大人”になってから経験し、文字通りバブリーな環境で本当に“いい思い”をしてきた、あるいは“いい思い”をしている人を間近で見てしまった世代です。

 車で送迎してくれる「アッシーくん」や食事をごちそうしてくれる「メッシーくん」、そして高価なモノを買ってくれる「ミツグくん」らはまだ出てきていない頃ゆえ、男性に貢がれるよりは「自分へのご褒美」(死語)と言い訳しながらブランド品を買っていた世代でもあります。

 この時点でかなりネジが緩まっていますから、その後、多少環境が変わったとしても、以前の生活のレベルをなかなか下げられないし下りられない。年齢的には“ない袖”も振りたくなってしまう中高年になっているのです。

 だからといって他人様の金品に手を付けていいはずはないのですが、同年代で似たようなアラサー、アラフォー時代を送ってきてしまった私には、ブランド品を前に止まらなくなってしまった彼女たちの気持ちがまったくわからないわけではないのです。

 恐るべし、第1次ブランドブームの生き証人たちの誤ったお金の使い方。橋田先生にぜひドラマ化していただきたかったです。持ち道具のブランド品、お貸しいたしましたのに……。と、まさにこの世代で超ブランド好きだからこそわかる、この思い。いろいろと気をつけたいです。

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『アップ!』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2023年8月3日号

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