汗をかく機会が増える夏。体のにおいが気になる人も少なくないだろう。汗をかく部位のケアに力を入れがちだが、実は口臭対策も重要だという。歯学博士に夏に口臭が起こりやすくなる理由と、ケア方法を聞いた。
夏は気温が上昇するため、「ハアハア」と口で呼吸する人が増える。「これが口臭の原因になります」と言うのは、『口の強化書』(アスコム)の著者で歯学博士の照山裕子さん。
「口呼吸をしていると口腔内が乾燥し、雑菌が増えてしまい、口の中が臭くなってしまうのです」(照山さん・以下同)
夏は食欲が落ちやすく、口当たりのいい“つるん”としたものややわらかいものを食べる機会が増えるが、それも口臭の一因になるという。
「そうめんのようなやわらかいものばかり食べていると、噛む力が衰えて口元の筋肉がゆるむため、ますます口がぽかんと開きやすくなります。
これを私は夏バテならぬ、『口バテ』と呼んでいます。口バテが起こると噛むことがおっくうになり、噛む回数が減るので唾液の分泌も少なくなり、歯に食べ物のカスが付着しやすくなります」
唾液は口内を清潔に保つ大きな役割を担っているため、唾液量が減ると口臭のもとになる。
「朝晩の歯磨きに加え、フロスなどでしっかりと歯間の汚れを取り除いてください。できれば1日1回は舌を鏡で見て、白っぽくてネバネバした付着物『舌苔』があれば取り除くこと。舌苔は専用ブラシでからめとるのもいいのですが、慣れないと力が入りすぎて取りすぎることがあるので、ガーゼを人差し指に巻いて舌の上を優しく拭き取るといいでしょう」
仕上げは口の中を“すすぐ”うがい。照山さんは、少量の水で勢いよく口腔内をすすぐ方法を提唱している。
「“おちょこ”1杯程度の水を口に含み、ぐちゅぐちゅと音が出るほど素早く10回程度すすぎます。これで口の中がきれいになるだけでなく、口の周りの筋肉が鍛えられ、口バテを防ぐこともできます」
唾液の分泌を促すためには咀嚼力をつけることが重要だが、おすすめはグミを噛むことだ。
「ガムを噛むことでも唾液は分泌されますが、ガムよりグミを噛んだ方がより早く唾液が分泌されるという研究結果があるんです。『口が乾いてきたな』と思ったら、グミを1粒入れて左右の歯でバランスよく噛むこと。このとき、三三七拍子のリズムでグミを左右に移動させながら細かくなるまで噛むのがおすすめです。口の中のグミがなくなったら、もう1粒噛む。1日1回、2粒程度のグミを噛むだけで唾液の分泌が促されます」