ソフトバンクが優勝戦線から脱落危機を迎えている。7月24日のロッテ戦で守護神のロベルト・オスナが角中勝也に逆転サヨナラ2ランを被弾。54年ぶりの12連敗を喫した。昨オフに近藤健介、嶺井博希をFAで獲得し、オスナ、有原航平、ジョー・ガンケルが加入するなど大型補強で3年ぶりのV奪回を狙ったが、首位・オリックスの背中は遠のくばかり。翌25日の試合はエースの山本由伸を打ち崩して連敗をストップしたが、7ゲーム差をつけられ、その道は険しいものとなっている。
スポーツ紙デスクは、ソフトバンクが苦戦する理由をこう分析する。
「2017年から史上初の4年連続日本一に輝きましたが、当時の主力選手たちに衰えが見えているなかで、20代の選手を育たなければいけなかったがうまくいかずに補強に走った。藤本(博史)監督は若手育成の手腕が評価されて就任したが、世代交代がうまくいっているとは思えない。我慢強く起用しなければ若手は一本立ちしないのに、チャンスが少なくすぐにファームに落とされる。チーム力の底上げができていないので、大失速しているのは必然と言えます」
ソフトバンクは他球団から「即戦力の宝庫」と形容されている。昨オフに現役ドラフトで阪神に移籍した大竹耕太郎は13試合登板で7勝1敗、防御率1.48と大活躍。FA移籍した近藤健介の人的補償で日本ハムに移籍した田中正義は守護神に定着し、31試合登板で2勝2敗7ホールド14セーブ、防御率2.40と素質を開花させている。両投手は今年もソフトバンクにいたままだったら、活躍できたか未知数だ。環境を変えたことで野球人生が好転したと言っていいだろう。
セリーグの編成担当も「とてもファームにいるレベルとは思えない選手が多い。ウチにくればすぐに一軍で起用する選手がソフトバンクにはゴロゴロいる」と指摘する。特に評価が高い選手として挙げたのが、高橋礼、上林誠知だ。
「高橋礼はファームでの投球を見ると復活したと言って良いでしょう。大型連敗中に、一軍で登板のチャンスが与えられなかったのが不思議なぐらいです。上林は年々打撃が悪くなっているように感じるが、持っている打撃センスはピカ一。きっかけをつかめば、ガラッと変わると思う。27歳とまだここからが伸びる時期だし、このままくすぶっているのはもったいない」