同協会は全国約1400の市町村が加盟する治水・砂防事業の普及啓蒙組織で、歴代会長には田中角栄・元首相や金丸信・元自民党副総裁ら旧田中派の流れを汲む派閥領袖が就いてきた。前会長も小渕派会長を務めた綿貫民輔・元衆院議長で、現理事には二階氏、小渕優子氏らが名を連ねている。
「二階さんが推進した国土強靭化政策と毎年発生する大水害などの災害復旧で公共事業は増大しており、その柱が治水砂防だ。現在、自民党で公共事業政策を仕切っているのは二階さんと森山さんで、業界からも頼りにされている。森山さんの砂防協会会長就任は、その二階さんや亡くなった青木幹雄・元参院議員会長が推したと聞いている。党内からも業界からも、名実ともに建設族のトップとして認められたわけです」(自民党ベテラン秘書)
それは森山氏の集金力にも現われている。岸田首相はじめ自民党の有力政治家の多くがパーティー中心に政治資金を集めているのに対し、森山氏はパーティーを開いていない代わりに、企業献金が突出して多い。
森山氏が代表の自民党鹿児島県第4選挙区支部の政治資金収支報告書(令和3年分)を見ると、この年の収入は約9443万円。そのうち企業献金が約3978万円もあり、寄付者の欄には建設関係の企業名がズラリと並んでいる。公表されている3年分(令和元年~3年)を合わせると、企業献金だけで1億円を超える。
かつて「自民党のドン」と呼ばれた金丸氏は、国対委員長として野党との人脈を広げて力を蓄えて幹事長となり、建設族の大物としての集金力で政界に君臨した。今、森山氏が辿っているのは、“第2の金丸”への道に見えてくる。
※週刊ポスト2023年8月11日号