冷房と並んでリスクになるのが「風呂」「シャワー」だ。
「冷房の効いたリビングで過ごした後に、熱い風呂に浸かるのはNGです。43℃以上のお湯では一時的に急激な血管収縮と血圧上昇を招きますが、冷房で身体が冷えている状態では、それ以下の温度でも危険な場合があります。身体が暖まった直後の水風呂や冷水シャワーも血圧上昇を招きます」
風呂上がりに服を着ないで冷房の効いた部屋に向かい裸のまま過ごすのも、血圧を上げる行為なので御法度だ。
熱い風呂を出て、キンキンに冷えたビールをグビグビと喉を鳴らして飲み干す──まさに夏の楽しみだが、これも血圧上昇を招く危険行為だ。
「冷えた飲み物やかき氷などの冷たい食べ物は、末梢血管を収縮させて血圧を急上昇させます。食道は心臓の後ろ側と接しており、特に危ない。私の上司は冷えたビールを飲んだ瞬間に狭心症の発作を起こしました」
扇風機も有効活用を
夏の食事にも血圧の上昇を防ぐ注意点がある。
「暑い時期にはそばやそうめんなど冷たい麺類の頻度が増えますが、その際には、つゆのつけすぎに注意。薬味を活用することで、過度に塩分を摂らないように工夫することができます」
夏は麺類など単品メニューになりがちなので、野菜類の積極的な摂取を心がけることも大事だ。
「野菜や果物には体内の余分なナトリウム(塩分)を排出してくれる働きがあります。カリウムが豊富なキュウリ、ホウレンソウ、トマトのほか、夏の果物であるスイカがおすすめですが、糖尿病がある人は食べすぎに注意」
夏場の「家事」で特に気を付けるべきなのが、冷房のない「風呂掃除」や「トイレ掃除」だ。
「休みなく動き回ると、血圧の急上昇を招きます。室内にいて脱水による熱中症を起こす人は特に高齢者に多いので、家事をする際も水分補給と休憩を挟むことが前提です。冷房がない風呂やトイレの掃除中は、扇風機などで冷気を送るなどの対策が大事です。前かがみで腹圧がかかる無理な姿勢は血圧の急上昇につながるので注意しましょう」