こうした状況の中、今年になってから原発性手掌多汗症に対する新しい外用薬オキシブチニン塩酸塩(商品名:アポハイドローション20%)が保険承認された。オキシブチニン塩酸塩は、すでに頻尿治療用経口薬や過活動膀胱治療用外用テープで使用されている成分で、神経系(アセチルコリン)の働きを遮断し、制汗作用につなぐことが可能だ。
「頻尿経口薬は全身に作用するので喉が渇いたり、便秘になったりする副作用がありますが、掌だけに塗ることで副作用は限定的となります。多汗を気にされている方には使いやすい薬だと思います」(藤本院長)
多汗症は辛いが、一方で快適な生活を求め過ぎるあまり、汗をかく必要がある時に、発汗しにくい体質の人が増えている。日ごろから体を動かして適度に汗を流し、汗腺を鍛えることも忘れてはいけない。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2023年8月18・25日号