熊本市のアルバイト・辰島ありささん(29)が、雑居ビルの7階で布にくるまれた状態の遺体として発見された事件。事件発生から間もなく3か月が経ち、エレベーター管理会社社員死亡からも2か月が過ぎたが、熊本県警から犯人に関する発表がなく、関係者の間では「迷宮入り」とも囁かれている。
この事件は当初から謎が多く、注目度も高かった。辰島さんの遺体が布にくるまれていたという第一報や、監視カメラが数多く設置されている熊本市中心部での犯行、そして普段使用されていないエレベーターでしか入れない空きテナントで遺体が発見されたということがあり、多くの憶測を生んだ。全国紙社会部の記者はこう話す。
「事件後1週間以上経って、地元紙の熊本日日新聞で『犯行現場となった雑居ビルでエレベーターの保守点検を行っていた男性が事件後死亡していた』という報道がありました。現場となった雑居ビル7階のカラオケ店は熊本地震後に廃業していて7年ほど前から空き店舗になっており、専用のエレベーターでなければ入れません。このエレベーターは普段は動いていないため、住居棟に住んでいる住民やエレベーターを操作できる人間が疑われていた過程で出た報道です。しかし、その男性が事件と関係があるのかどうかはわかっておらず、県警からもこの男性について具体的な発表はありませんでした」
行方不明となった5月28日未明、ビル入り口近くの防犯カメラには辰島さんが男性とみられる人物とビルに入っていく姿が映っていた。その後に辰島さんが出てきた形跡はなく、一緒に入った人物が1人で出てきた姿のみ映されていた。県警は辰島さんがビル内で殺害された可能性が高いと見て捜査しており、保守点検を行っていた男性は重要参考人の一人だったと思われる。報道直後、エレベーターの管理会社に社員死亡の経緯などを問い合わせたが、「捜査中のためお答えできません」との回答だった。