NTTドコモのモバイル社会研究所が昨年11月に実施した調査によると、小学校高学年のスマホ所有率は37%で、6年生に限れば52%と半数以上にのぼる。中学2年生以上の所有率は8割超えだ。
「スマホを持っていれば、ネットでさまざまな知識を得たり、SNS上で交友関係を広げることも難しくはありません。それ自体は決して悪いことではありませんが、何かの拍子に大麻売買の情報が出てくるかもしれないし、ネット上で仲よくなった人が実は密売人で、言葉巧みに大麻をすすめてくるかもしれない。
もちろん、意図的に大麻を購入できるサイトにアクセスすることも可能です。ネットに慣れ親しんでいるいまの子供たちは、常に危険と隣り合わせであると言えます」(碓井さん)
小6の男子が割り勘で購入
昨今、SNS上での「闇バイト募集」が社会問題になっているが、実際、SNSには大麻をはじめとする違法薬物の購入を持ち掛ける書き込みもあふれている。違法薬物の取引に詳しいジャーナリストが語る。
「売人たちは、SNS上で隠語を使って薬物の売買を行っています。たとえば大麻は『野菜』や『ブロッコリー』と記載して《野菜好き集まれ》などの文言で“集客”しています。購入希望者からメッセージが届いたら、やりとりが一定の時間で自動的に消えるテレグラムなどの秘匿性の高い通信アプリに誘導し、そこで具体的な代金や受け渡し方法などをやりとりする。宅配便や郵便で送るケースもありますが、人気なのは“手押し”と呼ばれる直接取引。これなら場所にもよりますが、注文から1時間以内に受け取ることも可能です。
大麻の末端価格は1g約6000円なので、小中学生でもお年玉やお小遣いで買えてしまう。小学6年生の男の子たちが、お金を出し合って購入したこともあったようです」
スマホは有害サイトにアクセスできないよう、子供向けに「利用制限」をかけることができる。
「ですが、親によっては制限をかけていないWi-Fiモデルの端末を渡していたり、と対応はまちまち。“無制限”のスマホを持っている友人と悪だくみをされることもある。有害サイトへのアクセスを完全に防ぐことは難しい」(前出・ジャーナリスト)
近年は電子たばこで吸引可能な大麻成分を含んだリキッド(液体)や、クッキーやグミに大麻を混ぜた食品も流通しており、大麻使用の裾野が広がっている。これらは乾燥大麻に比べてにおいも少なく、見た目にも周囲にバレにくいため、購入にあたり精神的なハードルが低くなるという。