芸能

【キャンディーズ50周年】全キャン連代表の石黒謙吾氏、カッターで左の前腕に「キャンディーズ」、右に「RAN」と刻み、全国を追っかけた日々

1975年、日劇で上演したミュージカル『スタンバイOK』の舞台裏。第2部はこの衣装でヒット曲を披露(C)近代映画社

2019年には全国伊藤蘭連盟を立ち上げた著述家・編集者の石黒謙吾氏が語る(写真は1975年、日劇で上演したミュージカル『スタンバイOK』の舞台裏。(C)近代映画社)

 運命の出会いはいつ、どこにあるかわからない。著述家・編集者の石黒謙吾氏は中学1年のときに、今年9月1日にレコードデビュー50周年を迎える3人組アイドル「キャンディーズ」に恋をした。2008年から新生・全国キャンディーズ連盟(通称・全キャン連)代表を、伊藤蘭さんソロ歌手デビューの2019年には全国伊藤蘭連盟(通称・全ラン連)を立ち上げ、代表を務める同氏に、一途にがむしゃらに10代の時間を捧げた、70年代の熱い「推し活」を語ってもらった。

 * * *
 忘れもしません、中学に入学した直後の1973年4月7日土曜日のことです。

 いつものように『8時だョ!全員集合』にチャンネルを合わせ、オープニングを見ていると、カメラがステージ中央から隅にパンして、白と緑の衣装を着た3人の女の子を映しました。その瞬間、僕はそのうちのひとりに吸い寄せられました。あとでわかることですが、その日はレコードデビュー前のキャンディーズが初めて『8時だョ!全員集合』に出演したときで、僕が惹きつけられたのはランでした。

 本格的に追っかけにハマるのは、中学を卒業した直後の1976年4月1日に地元金沢で行なわれたコンサートをひとりで見に行ってからです。『春一番』が流行っていた頃です。ファンが一体になって盛り上がり、それを3人が喜んでくれているのが伝わってきました。初めてなので舞い上がってしまい、コールはできませんでしたが、メチャメチャ興奮しました。

 高校に入ると、同級生2人とその友だちに熱烈なキャンディーズファンの仲間ができました。その仲間と高1、高2の夏休みを中心に100回ほどコンサートに行きました。北陸はすべて回り、東は東京、西は広島までですね。

 2回目のライブからは普通にコールできるようになりました。当時はまだ男がコンサートで叫ぶのが珍しい時代だったので、高1の夏、朝日新聞に「キャンディーズのコンサートで男性が叫んで失神し、病院に運ばれた」という記事が出ました。倒れたのは僕の仲間で、彼を会場の外に運び出したのは僕でした(笑)。

 追っかけ当初の頃、金沢だったか小松だったか、ガロみたいな長髪で、サングラスを掛けた2人組に声を掛けられたことがありました。彼らはいつもバイクとか車とかタクシーでキャンディーズを追いかける金持ちの追っかけグループ「スーパーキャンディーズ」のメンバーで、東京から来ていました。

 話をしていると、2人のうちの1人が「この前、ランがオレのあげたネックレスをして『夜のヒットスタジオ』に出ててさ」と言ったんです。自分も地方のファンとしては頑張っているつもりでしたけれど、彼らのいる世界と自分のいる世界があまりに違いすぎることを思い知らされ、衝撃でした。しかも、てっきり大学生だと思っていた彼らは、僕より1学年上であるだけの獨協高校の2年生でした。

 当時僕は地元金沢の美大に進学するつもりでいました。でも、彼らと会って、このまま金沢にいちゃダメだ、絶対に東京に出て、3人の近くに住むと決意しました。僕の人生を変えた出来事でした。

 追っかけの資金はバイトで作りました。工事現場、飲み屋の換気扇の掃除、魚屋の配達……肉体労働ばかりです。資金は限られているので、駅や公園での野宿もしょっちゅうでした。

 一番お金がかかったのはコンサートで投げる紙テープ代です。そのため金沢の卸問屋何軒もに電話を掛けて一番安い業者を探し、1個30円で買っていました。1000個単位で買う必要があるんですが、仲間と分けるから意外にすぐに使い切ってしまうんですよ。

 こうした出来事のすべてが楽しかったです。高1の夏にはカッターで左の前腕に「キャンディーズ」、右に「RAN」と刻みました。今でもかすかに読み取れるのですが、若い頃はくっきり見えたので、見た人によくギョッとされましたよ(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン