2021年5月にテレビ東京を退社し、起業家へと転身した元テレ東アナウンサーの森本智子さん(46)。『WBS(ワールドビジネスサテライト)』など主に経済報道系の番組の担当アナウンサーを20年にわたり務めたが、その後自らヘルスケア関連の新会社『Wellness Me』を設立するに至った背景には、両親からの影響もあったという。森本さんに話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む】
──『WBS』などでアナウンサーとして仕事をするなかで、なぜ「起業しよう」という思いに至ったのでしょうか。
森本:普通ではお会い出来ないような素晴らしい経営者の方々の話を聞いて、起業の思いを強くしたことは間違いありません。日々現場で働く皆さんの取材をする中で、いつからか「それを視聴者に伝えるだけでいいのか?」とモヤモヤするようになりました。
自分も実際にものづくりや経営をして、世の中や社会の役に立ちたいと思うようになりました。ただ起業への思いは同僚には話さず、胸に秘めていました。
──伝えるだけでは収まらない、アナウンサーという仕事の枠からはみ出る自分がいたということですね。
森本:それと同時に生き方や働き方についても考えるようになりました。同じ会社に10年以上、居続けることのメリット・デメリットあると思いますが、私自身は、他の世界に飛び込んで自分の才能を試してみたいと強く思うようになりました。
それでもテレビ東京での仕事は楽しかったので、20年間があっという間に終わってしまいました。「ひとつの場所に居続けるのは、もうこれ以上無理」という思いはありました。自分の使う脳みそや生活のスタイルも変えなければいけないという焦りがありました。
──お母様が乳がんで亡くなられたことも、起業を考える一因になった?
森本:起業した会社で現在販売している「がんリスク早期発見キット」についてはもちろんあります。検査キットがあれば、母もあと数年生きられたかもしれない。きっと同じような思いをしている人も多いはずで、そういう方たちを具体的に助けられるものを起業して最初に出したいという思いがありました。
『Wellness Me』として、今後は美容がメインになっていくと思いますが、やはり一番先に「がんリスク早期発見キット」をどうしても出したかった。「母への想いから、この商品を作りました」というメッセージを検査キットの中に入れさせてもらいました。