基本は「失敗を責めない、正さない」

 介護の第一の心得は、認知症本人の行動を否定しないこと。失敗しても責めない、間違っていても一旦受け入れることが肝要だ。さらに本人が苦手になったことを探り、グッズや福祉用具も駆使して「失敗させない工夫」をする。例えば認知症家族の悩みでよくある「誰かがお財布を盗った」という“もの盗られ”妄想。この場合は、「誰も盗ってなどいない」と否定せず、まずは話を聞いて、一緒に探して本人に見つけさせる、市販のキーチェーン(探し物発見タグ)をつけて探しやすくするなどが有効だ。

・手を取ったり背中をさすったりする何気ない「ボディ&タッチ」
・情報は少しずつ、小出しに、ゆっくり「ユマニチュード」(R)ケア
・聞き役に徹する「傾聴」と、輝いていたころを思い出す「回想」

 これらは本人を安心させる有効なケア法だ。常に抱える不安を癒し、本人の話をじっくり聞くことで本来の自分らしさを取り戻せる。できるだけ理解して寄り添うこと。これで不可解な困った症状は大幅に軽減することができるのだ。

フランスで考案されたユマニチュード®のケア法では、水平に視線を合わせる
「正面から伝える」を推奨。イラスト/鈴木みゆき

フランスで考案されたユマニチュード(R)のケア法では、水平に視線を合わせる「正面から伝える」を推奨。イラスト/鈴木みゆき

料理が作れなくても、切るなどの作業はできることも多い。できることを支援するのも効果的。イラスト/鈴木みゆき

料理が作れなくても、切るなどの作業はできることも多い。できることを支援するのも効果的。イラスト/鈴木みゆき

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