皇宮警察と京都府警のつながりは深い
「45? なぜ46じゃないんだ……」──メディア関係者らにそうした疑問が湧いたのは、広島で5月19日から21日にかけ開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に際し、同月中旬、警備体制の事前解説中に警察側が「警備は広島県警に45都道府県警から2万1000人が加わり、最大で警察職員2万4000人体制」と明かしたからだ。
言うまでもなく都道府県の総数は47。広島サミットの開催県プラス45では1つ足りない。メディア側からの「どこが抜け落ちているのか」との質問に「京都」と回答。「なぜ京都だけ入っていないのか」と疑問が呈されると「警備上の理由」との返答があり、「そうか! 警備は警衛のことか」と合点がいったのだった。
なぜなら宮内庁は5月1日、上皇ご夫妻が同月14日から18日までの日程で京都市などを訪れ、京都3大祭りのひとつの葵祭をご覧になると発表していたからだ。高校の古文の授業では「平安時代は、祭りといえば葵祭のことだった」と習う。宮内庁関係者は「コロナ禍の出口が見えたため日本の伝統文化の粋をご覧いただくことになったのです」と明かす。
「皇宮警察は全国47都道府県警の警衛担当者と協力しながら活動をしていますが、中でも京都府警は警視庁に次いでつながりが深いんです」と語るのは皇警関係者。京都は江戸に都が移る前、1000年にわたり都だった。皇警の警察署に当たる皇宮護衛署4つのうち3つは東京にあるが、1つは京都に置かれている。
「警視庁警備部の警衛課は全国で唯一の警衛専門の“恒久”課。皇警とは常に一心同体で皇室警備に当たっています」(前出の皇警関係者)。近衛兵にルーツを持ち皇室警備を主眼とする皇警は、皇室施設内の事件では一応捜査も担当する。
「だから警視庁とは警備だけでなく捜査でも連携します。でもそれは京都府警も同じです。京都護衛署がある以上、警備だけでなく捜査でも連携を図る必要があるからです」(同)
京都府警には専門の警衛課こそないが、以前から警備部に警衛警護課もある。だから面子にかけて上皇ご夫妻の警衛で不手際は許されない。広島サミットを“スルー”して皇警の側衛官らを全面支援したことで、サミット前日に帰京された上皇ご夫妻の退位後初の地方ご訪問は成功裏に終わった。