色とりどりのフルーツでデコレーションされ、キャンドルが立てられたチョコレートケーキ。そのケーキの皿を笑顔で支える鈴木保奈美(57才)の左肩には、天海祐希(56才)が穏やかな表情で手を回していた。保奈美が豪華な“共演写真”を自身のインスタグラムにアップしたのは、8月26日のことだった。その日は、今年10~11月に上演される天海主演の舞台『レイディマクベス』のリハーサル初日。写真は稽古後に撮影されたという。
「天海さんと保奈美さんは8月生まれ。ほかのキャストにも7月と8月生まれがいたので、“夏生まれ”をまとめてお祝いしたそうです。稽古は和気あいあいとした雰囲気ですが、1才違いの天海さんと保奈美さんは初共演ということもあり、2人の間にはどことなく緊張感も漂っているようです」(公演関係者)
東京公演のチケットがすでに完売している注目の舞台の裏では、これまで別々の道を歩んできた女優2人の人生が静かに交差していた。
『レイディマクベス』は、16世紀から17世紀にかけて活躍した劇作家、ウィリアム・シェイクスピアの『マクベス』に登場するマクベス夫人から着想を得て、イギリスの女性作家・演出家のジュード・クリスチャンが書き下ろした作品だ。上演は今回が世界初で、マクベス夫人を天海が、マクベスを世界的バレエ・ダンサーで舞台俳優のアダム・クーパー(52才)が演じることも話題を呼んでいる。
「本来は2021年3~4月に上演されるはずでしたが、コロナ禍で外国人キャストやスタッフの来日が困難になってしまった。2020年12月に“延期”ではなく“中止”と報じられ、上演そのものが危ぶまれました」(前出・公演関係者)
その後、入国制限や行動制限措置が解除されたのを受けて企画が復活。主要キャストの選定が進むなか、浮上したのが、保奈美の名前だった。保奈美の役は、原作で男性として登場するマクダフ。王の座をわが物にしたマクベス夫妻に妻子を殺害されるも、したたかに生き抜き、マクベスを打ち倒す重要な役どころだ。
「母親が宝塚好きだった保奈美さんにとって、宝塚の大スターだった天海さんは憧れの存在。初めて見た宝塚作品は天海さん主演の『ミー&マイガール』だったそうです。だからこそ、オファーがきたときには共演を喜ぶのと同時に、不安もあった。男役のトップスターとして名をはせた天海さんと同じ舞台で、原作で男性として描かれる役を演じることへのプレッシャーもあるでしょう」(芸能関係者)
士気を高めるために天海の舞台に足を運んだものの、それが逆効果にもなった。
「舞台上の天海さんがまぶしくて、保奈美さんは『この人と一緒に立とうと思うことが、間違っているんじゃないか』とかえって落ち込んだそうです」(前出・芸能関係者)
だが、保奈美もまた天海に負けないだけのキャリアを積み重ねてきた。