秋葉原駅クリニック医師の佐々木欧さんは、ストレスをコントロールすることは、健康で幸せなおひとりさま生活を体現する極意だと話す。
「長谷川さんのように生活の中で楽しみを見つけられる人、仕事など“やらなければならないこと”によって少し負荷がかかっている人はストレス耐性が強いといえる。若い頃からうまくコントロールする術を知っていたのでしょう。また、いくつになっても生きる喜びに貪欲で、人生を謳歌しようとする人はいきいきと年を重ねることができると言えます」
町子さんも“貪欲”なひとりだった。1985年、東京・世田谷に長谷川町子美術館がオープンした際、漫画家をリタイアする間近だった65才の町子さんは川口さんにこう言った。
「川口くん、これからが私の青春よ!」
川口さんが振り返る。
「多くの人が、“終活”を考える年齢ですよね(笑い)。だけど先生は『私はいままで青春を感じなかったけど、この美術館を建てて、これからが私の青春よ』とうれしそうにおっしゃった。旅行が好きだった町子先生は晩年も精力的にあちこちを旅されていたし、常に“これから何をしようかな”と言っていた。仕事をやり遂げた人生の最後こそが青春だったのだと思います」
【プロフィール】
長谷川町子(はせがわ・まちこ)/佐賀県出身。少女時代に漫画家・田河水泡氏に師事し1946年、疎開先だった福岡の地方紙『フクニチ新聞』の『夕刊フクニチ』に発表した『サザエさん』で一躍人気漫画家に。
※女性セブン2023年9月28日号