そんな岸田首相が愁眉を開いたのが改造直前のNHKの9月世論調査(8~10日調査)だったという。5月の広島サミット後から下がり続けていた内閣支持率が36%とわずか3ポイントだが上昇に転じたからだ。
「注目したのはNHK調査で福島第一原発の処理水放出後の総理の対応を『評価する』という意見が75%に達していたこと。総理は喜んで意を強くしている」(岸田側近)
政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。
「岸田首相はこの機会を逃したら来年の自民党総裁選前後まで総選挙を打つタイミングがなくなる。今後の政治日程には増税やマイナンバーカード問題、消費税のインボイス導入など国民の批判が高まる課題が目白押しだけに、解散を先送りすれば支持率もジリ貧になって総裁選で引きずり下ろされてしまう可能性がある。進むも地獄、退くも地獄なら、反主流派が倒閣に動く前に一か八かの解散ということでしょう」
自民党内の反主流派に背を撃たれそうになって、首相は総選挙へと突き進むしかなくなっているとの見方だ。
※週刊ポスト2023年9月29日号