もう休んでくれ ありがとう
9月4日(同5日)の打撃練習中に、大谷は右脇腹に手をやり苦悶の表情を浮かべた。練習を途中で止めて足早にベンチ裏に引き揚げると、試合直前に球団が「右脇腹の違和感で欠場する」と発表した。
以来、大谷は8試合連続で欠場(9月12日現在)。試合中はベンチに姿を見せることもなかった。
これだけ長く試合を離れるのは、実に4年ぶり。突然訪れた“野球ができない”日々のなかで、大谷は自分と向き合う時間が増えていた。
「大谷選手は、けがの原因を探ったようです。今年は本人の意向もあって、休みなしでほぼフル出場を続けてきました。試合を消化していくなかで、二刀流というプレースタイルが想像以上に体への負担が大きいことに気づかされました。大谷選手は来年30才を迎えます。体力的にいつまで二刀流で戦えるのか。8月3日の悔し涙を思い返し、やっぱりもうここが限界なのではないかという考えも浮かんだのではないか」(前出・在米ジャーナリスト)
限界の二文字が脳裏をよぎるのは、右肘のけがも影響している。大谷は今シーズン終了後に、肘の手術を検討している。
「手術を受けるとなると、リハビリに最低でも1年半を要します。しかも大谷選手は2018年にもこの手術を受けており、2回目の手術は復帰までさらに時間がかかるといわれています。手術そのものの成功率も低くなるとされていて、最悪の場合、もう二度とマウンドに立てなくなる可能性もゼロではないんです」(前出・スポーツ紙記者)
現実味を増す二刀流との決別は、違った側面でも大谷を苦しめた。
いまから11年前、高校生活最後の試合で負けた大谷は、「160kmを出すよりも、日本一を取って(大谷の地元)岩手のかたがたに喜んでもらいたかった。それができなかったのが、いちばん悔しい」と口にして大粒の涙を流したことがあった。
「昔から、大谷選手は個人の成績よりも周囲が喜ぶプレーを優先してきました。その気持ちはいまも変わらず、二刀流でファンを楽しませたいという思いが強いようです。少なからず来シーズンは投手を封印する可能性が高い。万全のパフォーマンスができないことに、申し訳なさも感じていることでしょう」(前出・在米ジャーナリスト)