翌年には南馬場の近くに坂路馬場もでき、さらに気象条件の影響を受けにくいニューポリトラックコースもできた。一方、北馬場での調教となるとさまざまな工夫が必要になってきて、軽い調整をする程度になり、徐々に利用されることが少なくなりました。それで「南北問題」も、自然消滅したのかもしれません。
で、「東西問題」はというと……栗東トレセンにくらべると、まだまだ物足りなかった坂路馬場が、今年のダービー後に改修が加えられ、10月から新しくなります。今までの坂路をさらに掘り下げて、下から上がってくるようになり、高低差は18メートルから栗東を上回る33メートルです。
北馬場は今年の10月には閉鎖される予定になっており、そこに新しい厩舎ができます。今の厩舎は1978年の開場以来の建物。当時に比べると馬の体もかなり大きくなっているのに、馬房が昔のままでは窮屈ですね。蛯名正義厩舎も2年後にそちらに移転する予定です。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年9月29日号