スポーツ

適性に合う「路線」が整備されたことで、世界でも戦えるようになった日本の競争馬

トロットスターは34戦8勝。蛯名正義騎手は重賞4勝全ての手綱をとった(写真/JRA)

トロットスターは34戦8勝。蛯名正義騎手は重賞4勝全ての手綱をとった(写真/JRA)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、秋のGI開幕戦と、馬の適性にあう「路線」についてお届けする。

 * * *
 9月になって競馬が北海道や新潟、小倉から中山と阪神に戻って秋華賞や菊花賞のトライアルが始まり、最終日のスプリンターズステークスを迎えるころになると、いよいよだな、という気分になります。翌週からは東京・京都開催がスタート、2週目の秋華賞から暮れのホープフルステークスまで続くGIシリーズの開幕を告げるレースです。ちなみにこの日はフランスで凱旋門賞もあるので、ファンは夜も楽しめるのではないでしょうか。

 1分そこそこであっという間に勝負が決まる「電撃の6ハロン(1200m)」戦。昨年は1、2着が同タイム、最下位まで1.1秒差しかない大激戦でした。夏の間に函館や札幌、小倉などで行なわれた1200mの重賞で頭角を現してきた馬やイキのいい3歳馬と、3月の中京競馬場で行なわれた高松宮記念の上位馬によるレースとなります。

 かつて日本の競馬番組はそれぞれの馬の適性に合う「路線」というものが確立されていなかったように思います。むしろ「格」中心のようなところがあって、3200mの天皇賞(春)に出た馬が1600mの安田記念に出たりしていました。それで上位に来ているから大したものではあるのですが、短い距離専門の馬や古馬牝馬は軽視されていると言われていました。

 スプリンターズステークスも僕が騎手になった頃はまだGIIで3月に行なわれており、1988年には自厩舎のダイナアクトレスが的場均騎手の騎乗で勝っています。彼女は1800mの毎日王冠を勝っているし、2400mのオークスや2000mの天皇賞(秋)でも好走しているようにスプリンターとはいえなかったのかもしれません。

 その後徐々にさまざまな路線が整備され、スプリンターズステークスがGIになり、古馬牝馬やダートのGIも創設された。そういった路線の確立によって適性が明らかになり、日本馬が世界でも伍して戦えるようになったのだと思います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン