2009年に要潤が主演した歴史エンターテインメント番組『タイムスクープハンター』(NHK)の脚本と演出を務めた中尾浩之氏が、10月より放送のTVアニメ『ブルバスター』で原作を手掛けるという。「等身大の普通の人々が活躍するものを描きたかった」と語る彼に、新しいロボット作品の新境地を訊く。
聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。現在、ネットで話題の「フェイクドキュメンタリー」に意欲的に取り組んできたテレビ番組の制作者にインタビューを行なう短期シリーズの第2回【前後編の前編。文中一部敬称略】。
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巨獣の駆除につきまとう“経済的な問題”に注目
10月4日より、TOKYO MXなどで放送が開始されるアニメ『ブルバスター』。害獣駆除会社「波止工業」の社員たちが正体不明の生物「巨獣」と戦うロボットヒーローものであるが、この作品が特異なのは「経済的に正しい」をコンセプトにしているところ。主人公たちは、巨獣とともに現実=コストとの戦いも強いられる。
本作の原作を務めているのは、NHKで放送されたフェイクドキュメンタリー『タイムスクープハンター』を手がけた中尾浩之。このコンセプトが生まれた経緯を中尾は次のように語る。
「『タイムスクープハンター』でも有名な戦国武将ではなく、市井の人々を描いたんですけど、今回の『ブルバスター』も、特殊な能力を持つヒーローとか防衛軍とかではなく、等身大の普通の人々が活躍するものを描きたかったんです。だからロボット作品を作りたいというよりは、弱小企業の人たちがどのようにして、大きな敵に立ち向かっていくのかという話をやりたいと思って、それにロボットの要素をつけたという感じです。
僕らも会議に向かう電車が遅延して会議に遅れそうになって、先方に連絡しようと思ったらケータイの充電が切れちゃったみたいな“事件”が日常に起こるじゃないですか。そういうものをロボットものに持ち込んだら新しいものが生まれるんじゃないかって」