中尾は子供の頃、『勇者ライディーン』や『ゲッターロボ』、中学の頃に『機動戦士ガンダム』を見て育ったが、ロボットアニメが特別好きというわけではない。むしろ思春期の頃は、実写ドラマや映画に強く惹かれていく。中でも『岸辺のアルバム』や『想い出づくり。』など山田太一のドラマが好きだった。
「山田太一さんの切り口でロボットヒーローものを作ったらどうなるんだろうっていうのを若い頃からやりたいなって思っていたんですよね。リアルを追求していくと、やっぱりお金の話になる。『ウルトラマン』とか『ガンダム』とかを見ても、この人たちの制服とかも絶対クリーニングをしているわけじゃないですか(笑)。じゃあ、それは週1で出しているのかなとか、それを受け取ったりする総務みたいな部署の人もいるんだろうなとか。勤務中、外で食事したら会社が出してくれるのかな、その領収書をいつまでに出してくださいって言われているのかなって。
僕らのような映画を撮影する仕事にもアーティスティックなイメージがあると思いますけど、ロケハンの時の領収書を集める制作さんがいて成り立っている。それは、怪獣退治だろうが変わらない。経済的な問題を切り口にやってみると、独特なスペクタクルが生まれるんじゃないかって。戦闘中に『今日中に経費の精算をしないと締め切っちゃうぞ』って連絡がきたりね(笑)」