次いで専門家たちが「避けるべし」と断じたのは、健康食品の代表格である納豆や青汁に含まれるビタミンKと、脳卒中や心臓発作、血栓の予防や治療に用いられる薬であるワルファリンののみ合わせだった。
薬剤師の鎌田直博さんが解説する。
「ワルファリンはビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくする薬ですが、ビタミンKには血液を固める作用があり一緒に口にすると作用が相殺され、血栓ができてしまう恐れがあります」
健康のためを思って食べたはずの食品によって、体が蝕まれている可能性があるということ。しかしグレープフルーツのようにいかなる場合も控えなければならないわけではない。
「同じく血液をサラサラにする薬『プラザキサ』には、ビタミンKとの相互作用はありません。納豆や青汁を食べたい場合は、ワルファリンをほかの薬剤に変更する選択肢もあります」(長澤さん)
アルコール類は3位に入った睡眠薬や抗不安剤との組み合わせをはじめとして、多くの薬とののみ合わせにリスクが潜む。薬剤師ライターの高垣育さんが言う。
「ぐっすり眠りたいからと寝酒をした後に睡眠薬をのむ人がいますが、絶対に避けてください。どちらも中枢神経を抑制する作用があるので、相乗効果によって一時的ではあるものの記憶障害や異常行動につながりやすく、ふらつきや転倒のリスクも高まります。
睡眠薬とともに注意してほしいのは、同じく中枢神経に作用する抗ヒスタミン薬とののみ合わせです。抗ヒスタミン薬は花粉症の薬や総合感冒薬にも含まれている身近な薬なので、無意識のうちに服用している人が多い」
のんでものんでも薬の効き目を感じない
アルコールに次いで薬とののみ合わせにおいて多くの識者が注意を促したのは牛乳だ。
4位の「牛乳×ニューキノロン系抗生物質」に一票を投じた須永さんが言う。
「牛乳やミネラルウオーターなどに含まれるカルシウムやミネラルが薬と結合することで、消化管から成分が吸収されにくくなり、作用が減少してしまいます。牛乳を飲みたいなら、服薬から2〜3時間はずらしてください」
衣笠病院グループ理事で医師の武藤正樹さんは、骨粗しょう症治療薬との相性の悪さを指摘する。
「骨粗しょう症の患者さんの場合、牛乳でカルシウムを積極的に摂ろうと心がけている人が多いのですが、治療によく使われる代表的な薬である『アレンドロン酸』は、牛乳と組み合わせると吸収されにくくなり、効果が減少します。この薬は服用頻度が1週間に1回と間隔があくので、牛乳とののみ合わせのリスクを忘れないようにしてください」
ランキングとおくすり手帳を見比べて、知らぬ間に危険なのみ合わせに辿りついていないか確認してほしい。
「それまでになかった体の異変を感じたら、薬と食べ物ののみ合わせをチェックしてみることをおすすめします。
とはいえ自分で調べられる範囲で危険なのみ合わせを把握しようとしても、食材は山ほどあるのでなかなか難しい。薬を処方されるときに自分から医師に尋ねることも習慣づけるのがよいでしょう」(上さん)
薬の効果を最大限に生かすためにも、リスクのあるのみ合わせには危機感を持つことが必要だ。
※女性セブン2023年10月26日号