国内

【財務省の埋蔵金】外為特会の含み益50兆円、日銀買い付けETFの含み益20兆円、年金積立金の含み益も100兆円

財務省と岸田文雄・首相の狙いは?(時事通信フォト)

財務省と岸田文雄・首相の狙いは?(時事通信フォト)

「今こそ経済成長の果実を国民に還元すべきだ」──そう経済対策を打ち出した岸田文雄・首相が、はっきり「減税」という言葉を口にした。その財源は税収増だ。国の税収はコロナ自粛下で増え続けて2020年度に過去最高の60.8兆円に達し、2022年度には71.1兆円とわずか2年間で、年ベースで10兆円以上増えた。さらに、経済対策の財源は使い回しとなれば、国にはカネが余って仕方がない。

 その一部は役所がいろんな基金に溜め込んでおり、国に約140種類もある基金の残高はコロナ前の7倍、約16兆円に達している。いわゆる「霞が関の埋蔵金」だ。

国はこんなに貯め込んでいた

 財務省が貯め込んだ隠し財源は莫大なものだ。

 まず財務省の外国為替資金特別会計には外貨準備1兆2537億ドル(今年7月末)がある。1ドル=148円で換算すると約185兆円。円安でドルの価値が高まり、そのうち50兆円前後が含み益とされる。日銀が金融緩和で大量に買い付けたETF(上場投資信託)の含み益も株価上昇で20兆円以上と試算されている。これも日銀納付金としていずれ財務省に入るカネだ。財務省取材の経験が長いジャーナリストの長谷川幸洋氏(元東京・中日新聞論説副主幹)が語る。

「そもそも約180兆円もの外貨準備は必要なく、無用に貯め込んでいるだけ。利益を吐き出せば必要な経済対策に使えるのに、財務省も日銀も握ったままほとんど出そうとしない」

 年金生活者にはにわかに信じがたいかもしれないが、実は、国の年金財政も大いに潤っている。

 厚生年金は保険料収入が給付を上回り、2022年度は3兆4552億円の黒字だ。3年連続の黒字である。名目賃上げでサラリーマンが支払う保険料が増えたことやパートなどの厚生年金加入が進んだことが財政好転の理由だ。

 黒字は「将来の年金支払い」に備えて年金積立金に繰り入れられた。その年金積立金の積み立て総額は厚生年金、国民年金合わせて約122.5兆円だが、株や債券で運用されており、株高で運用資産は約219兆円(今年6月末時点)に膨れあがっている。ざっと100兆円の含み益だ。

 この間、国民とくに高齢者は消費税増税に始まって医療費窓口負担の増額など数々の負担増を強いられてきた。

 年金支給額はこの4月から夫婦2人のモデル世帯で月額4889円引き上げられたが、引き上げ幅が物価上昇率より低く抑えられたために逆に生活は苦しくなった。

 それでも政府に「年金が破綻しそうだ」と聞かされて我慢しているのに、国はこんなに貯め込んでいたのだ。そのケタ違いの金満ぶりを見ると、何のための負担増だったのかと怒りを通り越して呆れてしまう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

旧統一教会は今後どう動くのか(時事通信フォト)
解散命令を受けた旧統一教会 「自民党への復縁工作」もありうると鈴木エイト氏指摘、教団と議員の関係を示す新情報リークの可能性 石破首相も過去に接点
週刊ポスト
藤川新監督(左、時事通信フォト)の船出とともに、名物商店街にも大きな変化が
阪神「日本一早いマジック点灯」のボードが電光掲示板になっていた! 名物商店街が今季から「勝った翌日に減らす」方式を変更 貼り替え役の店長は「ようやく解放される」と安堵
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
林芳正・官房長官のお膝元でも「10万円疑惑」が(時事通信フォト)
林芳正・官房長官のお膝元、山口県萩市の元市議会議長が“林派実力者”自民党山口県連会長から「10万円入りの茶封筒を渡された」と証言、林事務所は「把握していない」【もうひとつの10万円問題】
週刊ポスト
本格的な活動再開の動きをみせる後藤久美子
後藤久美子、本格的な活動再開の動き プロボクサーを目指す次男とともに“日本を拠点”のプラン浮上 「国民的美少女コンテスト」復活で審査員を務める可能性も 
女性セブン
24時間テレビの司会を務めた水卜麻美アナ
《水卜アナ謝罪の『24時間テレビ』寄付金着服事件》「まだ普通に話せる状況ではない」実母が語った在宅起訴された元局長の現在
NEWSポストセブン
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン
スシローから広告がされていた鶴瓶
《笑福亭鶴瓶の収まらぬ静かな怒り》スシローからCM契約の延長打診も“更新拒否” 中居正広氏のBBQパーティー余波で広告削除の経緯
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・HPより 写真はいずれも当該の店舗、スタッフではありません)
《丸ごとネズミ混入》「すき家」公式声明に現役クルーが違和感を覚えた点とは 広報部は「鍋に混入した可能性は著しく低い」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 山本太郎が吠えた!「野党まで財務省のポチだ」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 山本太郎が吠えた!「野党まで財務省のポチだ」ほか
NEWSポストセブン