東京・歌舞伎町の「大久保公園」で売春の客待ちをする「立ちんぼ」女性の増加が問題になっている。最近では新宿だけでなく大阪メトロ東梅田駅近くの通称「アメリカン通り」(太融寺町から兎我野町にかけたエリア)でも見られるようになり、警察による摘発が相次いでいる。逮捕された女性の4割が「ホストクラブの売掛金の返済」や「地下アイドルの推し活費用」を理由にしているとされるが、実態はあまり表にでてこない。なぜ彼女たちは街に立ち続けるのか──。【前後編の前編】
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「ここに立っている女の子のほとんどが“ホス狂(ホスト狂い)”だと思う。隣で立っているとそんな女の子同士の会話が聞こえてくるから。この前も『誰々に60万円の未収がある』と聞こえてきた」
SNSで「アメリカン通り」の存在を知った26歳のアヤ(仮名)は、昨年末から立ち始めたと明かす。この日(10月13日)も狭い路地には、10代から20代と見られる女性が10人ほど立ち並んでいた。何人かに声を掛けてみるが、「記者」と名乗ると大半が口をつぐむ。
「最近、防犯カメラの台数が増えたみたいで女の子の人数が集まり出すと、警察が見回りに来るから、みんな落ち着かないんです。(警官から)もし声を掛けられても『人と待ち合わせ』と答えれば大丈夫という話だけど、疑心暗鬼になります」
アヤは現在、飲食店でバイトする傍ら、週に2、3回、この細い路地で客を待つ。街娼で得られる収入は月に50~60万円ほどだという。
「こういう記録は自分のためにも残さないほうがいいんだけど……」
そう言うと、目の前でスマホのロックを解除して、あるアプリを立ち上げた。
「大体このぐらいかな」
スマホには“出勤”して得た収入を記録。それも日時から要した時間、その日の売り上げまで事細かに管理する。アヤは記憶が実に鮮明で、スマホを見ながら昨日の出来事のように経験談を語った。
「最近、ゼロの日が多くて。この日もこの日も……」
そう言ってカレンダーの日付をタッチ。売り上げゼロの数字が並んでいた。
「『アメリカン通り』に立ちんぼいるってニュースがYouTubeで流れると、夏ぐらいから観光目的の冷やかしが凄く増えたんです。今まで遊びに来てた人たちも人の目が気になるみたいで、遊びにくいと言います。夕方から夜にかけて立っていても、0人という日が普通に続いてます」