警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、激増する特殊詐欺「還付金詐欺」と「マイナポイント詐欺」について。
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特殊詐欺にも色々あるが、その中で何が一番稼げるのかと関東を拠点に活動する暴力団の幹部に尋ねてみた。「俺たちはやっていないがね」と前置きした上で彼はこう答えた。「還付金詐欺だ」。
還付金詐欺は確かに増えている。独立行政法人国民生活センターによると、2022年度の還付金詐欺の相談件数は、過去5年間で最高となった。被害者の95%が60歳以上だという。長野県では2023年1月から9月までの間で、前年の4倍以上の26件の還付金詐欺が発生。被害者の9割が60代だ。札幌市では10月、医療費の還付金があるという市役所職員を名乗る男性からの電話で、60代の女性が196万円をだまし取られ、兵庫県でも医療費の還付金があるという市役所職員を名乗る男性からの電話で70代の女性が111万円をだまし取られている。
警視庁・特殊詐欺対策のホームページによると、還付金詐欺とは自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけてきて、被害者が犯人の指示通りにATMを操作すると、実際には犯人側の口座にお金が振り込まれるという詐欺だ。払い戻しには期限があると焦らせたうえで、今すぐ携帯電話を持って近くのATMに向かうよう指示するというのだ。
ここ数年、還付金詐欺が増えている背景には、コロナ禍での政府による対策の影響があると幹部はいう。「還付金詐欺は流行り廃りがないんでね。医療費や税金は誰もが毎年支払うものだからな。それにコロナ禍で政府が様々な還付金や給付金を打ち出しただろう。誰がもらえるのかわかりにくいと批判されたものや、手続きが面倒そうなものもあった。名前は聞いたことがあるが、内容や手続きがよくわからない、こういった還付金は、特殊詐欺グループの格好のネタになるわけだ」。
年を取るほど、税金や保険料などをたくさん支払ってきたという意識があることも、還付金詐欺につながるようだと幹部は話す。
「思いがけなく返金される、還付されると聞けば嬉しくなるものだ。払いすぎていたんだ、還付してもらえるお金があったんだと素直に思ってしまうんだな。だけど期限が迫ってますよと言われれば、せっかくお金をもらえるチャンスをふいにしたくなくなる。詐欺を行うヤツらは、急いで手続きしなければと思い込ませるのがうまいんでね。1件当たりの金額はオレオレ詐欺や投資詐欺ほど大きくないが、詐欺グループにとって成功する確率が高いのが還付金詐欺だろう」(暴力団幹部)