次は一体何キャラ?

 群雄割拠の芸能界で何かを得るには、周囲から抜きん出たキャラクターが求められる。そのなかで、なぜ彼女が不幸そうな役を立て続けに演じるのか。ドラマオタクとして疑問だったが、上記のデータと考え合わせると合点がいった。

 言うまでもなく、吉岡里帆はめちゃくちゃ可愛い。『どん兵衛』のCMがあまりにもサマになっていて、あざといキャラを匂わせていた時期もある。ここで女性票が消えそうになるところを、非モテ役を捨てないことで、自己肯定感が低い傾向にある多くの若者や女性からの強い共感をキャッチしたのではないだろうか。だとすると、作戦は大成功だ。それを証明するのが、昨今の吉岡の活躍ぶりである。

 非モテ、薄幸キャラ以外では『カルテット』(TBS系、2017年)の来杉有朱役で有名になった「人生、チョロかったー!」の名言が印象的だ。また、映画『Gメン』(2023年)の教師役で生徒に放った、「誰がババアだよ!このヤロウ!! どこの国民的美少女つかまえて、ババアだって言ってんだよ!!」というブチギレセリフは、あまりにも爽快すぎた。

 彼女の非モテキャラとのギャップを楽しつつ、「次はなにをやってくれるのだろう」と吉岡の動向には今後も目をかっ開いて注目したい。次は……一体、何キャラ?

【プロフィール】
小林久乃(こばやし・ひさの)/エッセイ、コラムの執筆、編集、ライター、プロモーション業など。著書に『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)、『45センチの距離感 つながる機能が増えた世の中の人間関係について』(WAVE出版)、『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社)がある。静岡県浜松市出身。X(旧Twitter):@hisano_k

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